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不老不死ロリの国 第二部分

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こうして、箱子は昆太を頭に乗せて、家路についた。パワーはもともと人並み外れている。小柄ながら、そこはさすがにヤマンバである。
「うう。俺はいったいどうしたんだろう。この揺れはなんだ?気持ちいいぞ。」
「あっ、やっと気づいたね、お兄ちゃん。もうすぐ家だけど、もう降りても大丈夫だね。」
箱子と昆太は並んで山のひとつに向かっている。
「俺がロリっ子の上に乗ってる?こ、こんなことがあっていいのか。天地がひっくり返ってもあり得ないことなのに。それが現実化している!萌ネ、萌ネ、萌ネ~!」
「ちょっと、お兄ちゃん、うるさいよ。早く降りてよ。」
 萌えながら、残念そうに地面に着地した昆太。
「この山の中に、箱子の家があるのか?」
「そうだよ。でもこの山はヤマンバ一族のもので、うちの一族はこの山のどこかに住んでるよ。」
山の麓に洞穴が見えた。
「この洞穴が家なのか?これじゃあ、まるで竪穴式住居だな。まともな生活ができるんだろうか?」
昆太の不安をよそに、洞穴の前に立つと、しっかりとドアがあり、インターホンまで設置されていた。
ドアの内側に入ると中はわりとフツーだった。
「これは人間界の個人住宅と変わらないなあ。四畳半の玄関があって、リビングがあって。」
ひとりごちながら部屋に入る昆太。広いリビング内に入ると、飾り付けがされていた。
「おや?ここはキッチンなのか?たくさんの刃物が並んでいるけど。」
大小のナタが揃い踏みでぶら下がっていた。
「ナタにもいろいろ種類があるんだな。」
刃がギザギザのものや、刃が二本あるもの、半月型のものなど、バラエティーに富んでいる。
さらに、人間大の棺桶っぽいものが立てかけてある。
昆太は嫌な予感を抑えつつ、人型のフタを開けてみた。
「うわああ!」
開いたフタの裏側には太い針が林立していた。
さらに高さ5メートルぐらいの角材で組まれた長方形枠に、ロープで斜めに吊された大きな三角形の凶悪な刃がいちばん上で光っている。
「これって、拷問、いやオトナのオモチャだよな?」
「オトナじゃないよ。幼児用の玩具だよ。ギロチンくんというかわいい友達だよ。小さい頃、っていうか、小学五百年生ぐらいまでこれで首を切り落としてあそんでたよ。でもこれよりももっと大きくてよく切れるものがこの世界のどこかにあるらしいよ。」
「あ、あははは。・・・。はあ。」
(俺はいったい、どこの世界に来てしまったんだろう。スゴくヤバい世界なんじゃ?)
不安の積乱雲がもくもくと大きくなっているのを実感しつつ、言葉を飲み込んだ昆太。実に味わい深いのど越しだった。
「あれは何かな?ずいぶん生々しい動物の頭部のようだけど。」
「あっ、いいものに気づいたね。さすがお兄ちゃん。ゾウさんの頭だよ。あの鼻に触ると幸運が訪れると言われててね、毎日ニギニギしてるんだよ。ほら、こうすると、なぜか大きくなるような気がするんだよ。かわいいね。」
『パオーン。』
子象の鼻は箱子に撫でられて気持ちよさげに、鼻を鳴らした。
「そ、それって、まるで生きてるように見えるけど。」
「そうだよ。この世界の動物にも、なかなか死なないてゆうか、不老不死のモノもいるからね。」
『ガーン。』
悪い予感はネガティブ発想の人間にはよく当たるものである。
「さっき、小学千年生とか言ってたけど、それって、小学一年生を冗談、いや大袈裟に千年と言ってるのかな?」
「そんなことないよ。そのまんまの意味で千年過ごしてるよ。あたしは小学千年生なんて長い感じがするから、どこかで聞いたことのある高校生と呼ぼうよって言ってるけど、誰も耳を傾けないよ。」
「そ、そうなのか。じゃあ、最上級生で、下にたくさん後輩がいるんだな。全然、じゃなくてあまり人を見かけなかったけど。」
「後輩なんていないし、人口も少ないよ。このあたりで出会う人は、吝奈ちゃんとキューリー夫人博士だけだよ。」
「そ、そうだよな。ハハハ。・・・。はあ。」
溜め息をついた昆太はさらに未解決の疑問を問うていく。
「箱子は享年何歳なんだ?」
「死んだ人扱いはひどいよ!何歳かはわからないけど、千歳をかなり超えてるような、そうでもないような。」
(ダメだな、これは。)
心で断定しつつも口には出さない昆太。
「千年も生きてるって、スゴいな。」
「そんなことないよ。みんなそれ以上生きてるし。そもそもみんな死なないし。」
「死なない?それって、もしや。」
「うん。不老不死だよ。ヤマンバ族、狼族、吸血鬼もみんな不老不死だよ。」
「そして誰も年を取らず、死ぬこともなく、幼いまんまということか。忌々しいお父さんとかはいるのか?」
「お父さん?なにそれ?お兄ちゃんと同類なのかな?」
「まさかここには女子しかいないんじゃ?」
「そうだよ。そんなの、当たり前じゃない。」
「ま、まさに不老不死のロリ妹だらけの桃源郷だ、ハーレムだ!」
「桃源郷?ハーレムって何?もしかして桃とか、ハムとかが出てくるパーティーのこと?それなら聞いたことがあるよ。都市にそんな施設があるって、朝田先生が言ってたよ。」
「都市?そんなところがあるのか?その名前からすると、この国の中心部なのかな?」
「うん。でも吝奈ちゃんやキューリー夫人博士も行ったことがないから、よくわからないんだよ。とにかくスゴく遠い所なんだよ。」
「そうか。それはゆっくり聞きたい話だな。でも今日は疲れたから、寝ることにしたいんだけど。」
「あっ、そうだね。それならあたしと一緒に寝よ。」
「いっ、一緒?一緒ということは同衾?ダンジョン、七歳にしてセップンを同じゅうせず。とかいう風に言われるしなあ。デヘヘヘ。」
倫理観が完全欠如なロリ王昆太。
「じゃあ、お泊まり会開催だね。楽しみ!」
「う、うん、そ、そうだね。」
超絶ピンチな箱子は赤ブーメランブルマのままのヘンタイである。
ふたりは箱子の部屋に到着した。
『お兄ちゃんとベッドイン♪』と歌い上げる箱子。深い意味はなさげであるが。
『な、なんと!・・・ロリちゃんとベッドイン♪』
絶句してデュエットしてしまう昆太。
『お兄ちゃんとベッドイン♪』『ロリちゃんとベッドイン♪』
『ゴツン。』
有頂天になった昆太は壁に頭をぶつけて冷静になった。
「よく考えると、箱子は少なくとも千歳+α。これはボクの守備範囲年齢とは、宇宙的に乖離して、超絶豊島区だぞ。しかし、ロリに国境や年齢は存在するのか、いやしない。」
昆太の脳内に天秤が出現し、左右にゆれている。
「どっちなんだ、どうすべきなんだ、人間としてのボクの価値観と倫理観は?」
天秤は激しく左右に揺れたかに見えたが、千歳豊島区の皿は跳ね飛ばされた。
「考えるまでもなく、ロリが圧勝だよね♪」
昆太は鬼畜ロリ王だった。
ふたりはハミングしながら、箱子は自分の部屋のドアを開いた。その瞬間、幼女らしい明るさが眩しかった、かに見えたが、昆太の目が慣れてくると、明るさに違和感がある。部屋の壁、天井、床が薄い灰色に光っていた。
少し不安になった昆太が部屋を見回すと、クマサン人形やドールがたくさん見えた。
「やっぱり女の子だなあ。これこそ幼女シュミだな。」
昆太の不安は安心感へと変わった。