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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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トナカイとほんわかライオン

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 とある偉大な海域に浮かぶ、一つの島。そこでは「万年桜」と呼ばれる不思議な桜が季節を問わず咲き誇っている。そのうちの一本の万年桜の下で、二本足で歩く二等身のタヌキ…に似た体型のトナカイが、わたあめをおいしそうに食べていた。彼の美しい思い出の象徴である「桜」と、大好物の「わたあめ」という組み合わせは、このトナカイにとってこれ以上ないパラダイスを作った。

 するとそこに、緑色のたてがみを持った小柄なほんわかライオンが、二本足で歩いてきた。耳のいい二本足のタヌキ…もといトナカイは、足音のしたほうを見て、ほんわかライオンに声をかけた。
「お、おまえ、動物なのに二本の脚で歩けるとか、おれとおんなじだな」
「うん、そうだね」
「おまけに、人間の言葉をしゃべってる。おれとおまえ、共通点が多いなぁ」
「他人?とは思えないよねえ」

 そう言ったあと、ほんわかライオンは、トナカイの持っているわたあめに目を向けた。
「君が持ってるそれ、わたあめ?」
「あぁ、そうだ。おれ、わたあめ大好きなんだ(^^)あ、そうだ。おまえも食うか?限定フレーバーの梨味だ。うまいぞぉ」
 そう言って、トナカイはもう片方の手に持っていたわたあめを差し出した。
「えっ、いいの?ありがとう!」
 ほんわかライオンはうれしそうにお礼を言うと、わたあめを受け取った。

 そのとき、トナカイは予想外のリアクションを取った。何と、ぷいと後ろを向いたのだ。これにはほんわかライオンも、首を傾げた。
(え?何で?僕何かいけないことした?)
 彼が心の中でそう言うと、トナカイがふっと振り向き、満面の笑みを見せてこう言った。
「お礼なんか要らねえよぅ。おまえ一人で食ってろコノヤロー♪」
(…?この子、うれしいの?うれしくないの?)
 ほんわかライオンには、トナカイのリアクションが不思議に思えたが、トナカイの無邪気な笑顔を見ているうちに彼の顔も明るくなった。


 こうして、トナカイとほんわかライオンはわたあめを食べ始めた。おやつ中、彼らはこんな会話をした。
「ねえトナカイくん、『一期一会』って言葉、知ってる?」
「え、知らねえな。イチゴ系のスイーツか?」
「ううん、違うよ。その日の出会いは一生にただ一度のものだと思って相手に優しくしよう、という意味なんだよ」
「へ〜、いい言葉だなぁ」
 ほんわかライオンは話を続けた。
「別の言い方をすれば、その人に会うのはこれが最後かもしれないと思って親切にしよう、ということかもしれないね」
「…そうなんだ。おれ、おまえに会えてよかった」
 トナカイはそう言うと、歯を見せてニシッと笑った。
「僕もだよ、トナカイくん」
 ほんわかライオンも、目を線のように細くして笑った。


 しかしこのライオン、実は手配書が出回っている「賞金首」だったのだ。その額…


                      「UNLIMITED REWARDS」(報酬はいくらでも)