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てっしゅう
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官能小説「美那子」 誘惑 一話

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「そうなんだけど、血液型を見ても俺たちの子供であることは間違いないって証明されているけど、何か気になるんだよな」

「あなたが気になるのは二人が本当の兄妹ではないから仲良くなっているという疑いなの?もしかして」

「小さい時から仲良くしていたから、そんなふうには思わないけど、普通大人になれば兄妹なんて違う方向を見るってみんな言っているから、我が家はおかしいのかなって感じるだけだよ」

「私はずっと二人が仲良くしてくれて、もう少し先に秀一郎か美那子が結婚を意識した時に必然的に今より離れてゆくから、心配しないで見守ってやればいいと思っているの」

「うん、なるほど。そうかも知れんな。ずっと結婚しないっていう事もないだろうからな」

「そうよ。じゃあ、お風呂に入って来るから先に寝ててね」

美樹がお風呂に入ると言ったのは、その場から早く離れたいという気持ちになっていたからだ。
そのまま浴室に向かうと秀一郎が入ろうとしていた。

「あっ、ごめんなさい」

ドキッとした。裸にではない。自分の考えていたことを知られたのかと感じたからだ。
居間に戻ってボーっとしていると、シャワーから出てきた秀一郎が近寄ってきて話しかけてきた。

「母さん、なんで寝ないの?」

「うん、お父さんがね変なこと言うから気にしちゃって眠れないのよ」

「ええ?親父がなんて言ったの」

「悪く思わないでね。美那子とあなたを見たお父さんの会社の同僚の息子さんが、絶対に兄妹じゃないって言い張るから、私にどう思うって聞いたのよ」

「ふ~ん、どう思うって意味が解らないけど」

「だよね。だから何を疑っているの?って聞いたら、疑ってないけどふつう大きくなったら兄妹なんて離れて行くって言うのよ。お母さんはあなたたちが仲良くしてくれていることはとっても嬉しいの。世界で二人だけの兄妹なんだからね」

秀一郎は母親に「世界で二人だけの」と言われて、強くそうだと感じた。
兄としてずっと死ぬまで妹を大切に守ってゆかないといけないという気持ちが湧いてきた。同時にいつかは別々に暮らすようになると思うと切なさと悲しさを覚える。
複雑に入り乱れる心の中を探られないように、母親から逃げるように「おやすみ」と告げて自分の部屋に向かった。