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おやまのポンポコリン
おやまのポンポコリン
novelistID. 129
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オトリ捜査官

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 私の名はマリー・コンドレール、凶悪な連続レイプ犯専門のオトリ捜査官だ。
 
 ここ、アメリカの南部は保守的な土地柄で、被害にあった女性達の約8割が被害届を出さず、泣き寝入りをする。
 
 しかもカソリックの女性は妊娠した場合、堕胎の罪よりも自ら死ぬことの罪を選ぶ者が多いため、レイプは特に憎むべき犯罪なのだ。
 
 私のチームは主任である私を入れて4名。
 いずれも百戦錬磨の優秀な部下達である・・・と、言いたいところだが・・・。
 
 
 「てめえら、なにしてやがったんだ!」
  私は怒りにまかせて、それまで縛られていたロープで部下の首をしめた。
 
 「ワー、しゅ、主任落ち着いて、落ち着いて下さい」
  首を絞められながら、まぬけな部下その1、ジョージが必死で弁明をした。
 
 「このモーテル周辺をヘンリーとバージルで張っていたんですが、その目の前でカッパライがあったんですよ」
 
 私は思わず、ロープに力を入れた。
 「お、お待ちください主任」
 大慌てで止めに入ったのは、まぬけな部下その2、のヘンリーだった。
 
 「今回は、カッパライは勿論、レイプ犯だって、こうして捕まえることもできましたし、それに・・・」
 「それに?」
 
 「引き裂かれた主任の下着だって、経費で落とせます」
 カッとなった私はジョージを離して、こんどはヘンリーを締め上げた。
 「お、おやめ下さい主任!」
 私を止めに入ったのは、まぬけな部下その3、のバージルだった。
 
 
 だが、まあ私はひどい目にあったものの、確かに連続レイプ事件は解決することができた。
 それに、今はまぬけな部下達をこれ以上締め上げる気力も残っていなかった。
 
 疲れきった私は、犯人の護送手続きを済ますと、打ち上げを断り、そのまま家に帰った。
 
 部下達と酒を飲んでバカ騒ぎすることで、疲れが取れるとは思わなかったのだ。
 
 
 
 家に戻って、扉を開けると、「ママお帰り!」と、子供達が一斉に駆け寄ってきた。
 
 子供達との歓談こそが、私の疲れをいやす一番の秘策だった。
 
 こうして私は明日も凶悪な犯人達と向かい合う・・・。
 
 
 
 私の名は、マリー・コンドレール、まぬけな部下達のおかげで、7人のそれぞれ父親が違う子供達の母となった、オトリ捜査官である。
 
 
            Fin