官能小説「美那子」 初体験 一話
「智之さんから付き合って欲しいと言われているの。私はお友達じゃダメなのって言ったんだけど、男と女の友達なんだよね?って聞き返された。お兄ちゃんには内緒にって思ったけど、絶対にバレるからやっぱり言っておこうとお母さんにも話したし」
「そうだったのか、智之がそんなこと言ったのか。美那子の気持ちはどうなんだ?」
「ええ?どうって、友だちだよ。好きとかじゃない」
「向こうはそうは思っていないぞ。何度か会っているとそのう・・・」
「そのう・・・なに?」
「わかるだろう?言いたいこと」
「嫌なのそうなったら?」
「おいおい、友だちなんだろう?なぜそうなるって思うんだよ」
「だって、お兄ちゃんが誘導尋問みたいにするんだもん」
「お前が先に話したんだぞ、もう」
「ねえ?お母さんも聞いていたけど、お兄ちゃん彼女いないの?静子もタイプだって言ってたし、ひょっとして興味がない?」
「ハハハ~興味がないなんてわけないだろう。お前みたいな可愛い子が周りには居ないからなあ」
「ほんと?嬉しい。やっぱりお兄ちゃんは優しいね」
「お前が心配なんだよ。そんなこと聞かされて余計に。まだ中学一年だぞ」
「うん、自分でもまだ早いって思う事はあるよ。でも、静子見ていると羨ましいって感じるし、好きな人がいるっていうだけで毎日ウキウキできるって考えちゃう。お兄ちゃんだって彼女出来たらそう思うようになるって」
「ませているな~お前は。女の子は早いっていうけど、本当だ」
「褒められているのか、バカにされているのか解らないけど、お母さんにたくさん話をしたから、危ないことはしないと思う。それに私もちょっぴりお兄ちゃんに彼女が出来たら嫉妬するかも知れないって考えたりもするの。変?」
「変だよ、兄だぞ。おれはおまえと智之が仲良くなっても・・・」
兄はそういった後が言えなかった。
美那子も言葉が出なかった。
兄が自分を気遣ってくれているというよりも、「好き」なんだと感じられるのだ。
体の中の女の部分が反応する。
それは越えてはならない垣根であり、あきらめないといけない思いでもあるのだった。
作品名:官能小説「美那子」 初体験 一話 作家名:てっしゅう