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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 最終話

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あれだけ大騒ぎして報道されていた墜落事故の真相究明もハッキリとした証拠が出てこない以上推測の域を出ないという状況になり、政府側や自衛隊側の鉄壁のつじつま合わせとだんまりでテレビから消えてゆくようになっていた。

内藤と梓には平穏な暮らしが出来るようになって有り難く思えていたが、これがマスコミの対応なんだと思い知らされた。
堂々と二人は時折魔王へ足を運び、平山と元自衛官とで情報交換をするようになっていた。

「内藤さん、このままお父様が見つからなければどうされるおつもりですか?」

平山は尋ねた。
梓の顔をちらっと見て内藤が答える。

「必ず見つけるという信念でいますが、現実は困難が予想されます。梓の事を思うとこのままぼくたちがこの閉塞感から抜け出ることなく生きてゆくという選択もわがままだと感じられるようになりました。私は自身の研究成果をアメリカの手助けがあったとはいえ一応の完成を見て、今後米軍への導入で出来高による収入が見込まれます。研究者としては一段落したと思っています。
これからは梓の事だけを考えて暮らしてゆくのが賢明な判断じゃないかと思うようになりました」

「内藤さん、それは素晴らしいことだと思います。我々の仲間内でも梓さんは素敵な女性なので内藤さんを羨ましく思う者が多いんですよ。不幸な生い立ちでありながら強く生きてこられた女性なので、これからは内藤さんに甘えられて余生を充実されることが私の思いでもあります。遺族会も訴訟が始まり今後の行方も気にはなりますが、裁判が始まった事、国会で取り上げられたこと、政府と自衛隊そして在日米軍の組織的な隠ぺいが暴露されたことで留飲を下げることが出来ました。本当に何とお礼を言って良いのか解りません」

梓は内藤の言葉に涙しながら平山に答えた。

「平山さま、とてもうれしく思っております。内藤との出会いはわたくしの過去に存在した秘密を暴露させることだと運命を感じておりましたが、本当の運命は因縁のある二人が幸せに生きるという神の思し召しだったように思えるのです。もう命を狙われるようなことはないと思いますので、これからは二人でいろんなところへ旅行したり、たくさんのお友達を作って悔いのない人生を内藤と送りたいと思います」

梓の思いは本当にそう感じていたのだろう。
内藤は自らの命題ともいえる父親の消息を知るという難題を一旦胸の中に仕舞い込み、目の前の妻である梓を幸せにすることを優先しようと心に誓った。


終わり。