小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

Guitarist Party

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

 それから十数分後、スティーブンがドリンクを飲もうとグラスを持つと、その中に何やらおかしなにごり具合の飲み物が入っているのに気付いた。
(何だこれ、変な色)
 これにはさすがのスティーブンも少しばかり不審そうな顔をした。
(何で俺のドリンクだけこんな色なの…?)
 彼は思い切って仲間に尋ねた。
「ヒューゴ兄さ〜ん、何か俺のドリンク変なんですけど…」
 しかし、彼は含み笑いをして
「まぁ、飲んでみなって」
 と言うだけで、近くの席に居たアミアンとアーヴもフッと笑うだけだった。彼らの行動にあまり納得できないまま、スティーブンは一口飲んでみた。その不思議な味に、彼は数秒間沈黙した。
(これ…ホワイトソーダとジンジャエールが混ざったみたいな味だなぁ)
 そのあと、小規模爆発のようにぷっと吹き出し、ケラケラ笑い出した。これには、向かい側の席に座っていたデレクが声をかけずにいられなかった。
「何だよスティーブン、突然笑い出して」
「いや…ドリンク…」
「ははっ、それか。まぁ飲み干してみな。何か起こるかもな」
 デレクの隣に座っていたほかのギタリストも軽く笑ってうなずいた。
「……」

                 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

 数分後、スティーブンは得体の知れないドリンクを飲み干した。飲み終わったあとも、スティーブンは一人で笑っていた。アーヴが
「何か一人で笑ってるけど、どうかした?」
 と尋ねると、スティーブンが
「いや、ドリンク飲み切りました…」
 と答えて、自分のグラスに視線を向けた。アーヴがそれを見ると、中は氷だけが残っていた。彼は
「おっ、やったねスティーブン!」
 と言うと、口を閉じたまま笑みを浮かべた。
「おいアミアン、スティーブンのグラス、見てごらん!」
 相棒に言われたアミアンがグラスを見ると…
「おぉ…よし。みんな、俺のほうを向いて!」
 彼は立ち上がって全出席者に聞こえるように言った。
「ここに居るスティーブン・シュルツは、『通過儀礼』を経た。これでこの子も正式にこの会の会員だ!」
 主催者の言葉を聞いて、参加者たちはスティーブンに大きな拍手をした。
「ウエルカム!」
「おまえも立派に俺たちの仲間だ!」
 先輩たちの歓迎の言葉をもらい、スティーブンはこれ以上ないくらいに照れた。
「彼はわずか16歳で頭角を現した、数十年に一度の天才!間違いなくこれからのカナダロック界をしょって立つスターの一人になるだろう。みんな、この希望に満ちたニューフェースをよろしく!」
 新入りをべた褒めするあまり、アミアンはいつになくハイテンションになった。
「あ、ただ今紹介されましたLOVE BRAVEのスティーブン・シュルツです。あの、今日はこのような楽しいパーティーに招いてくださり、本当にありがとうございます。えーっと、まだまだ新人なのでいろいろと不勉強な僕ですが、ここに居る皆さんのような素晴らしいギタリストさんたちと関わることで、いろいろなことを学んでいきたいです。これからもどうぞよろしくお願いします…!」
 スティーブンは片手を胸に当てて軽く頭を下げたあと、何ともさわやかな笑顔を見せた。その瞬間、再び大きな拍手に包まれた。

                 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

 しばらくして、ヒューゴがあのドリンクのネタばらしをした。
「実はなスティーブン、このパーティーに初参加の人は必ず何かしら変なドリンクを飲まされるんだ」
 彼の隣の席のデレクも、付け足した。
「で、それを飲み切れれば、パーティー仲間として認められるってわけだ。ちなみに今回作ったのは、ジンジャエールとホワイトソーダのミックスドリンクさ」
「そうなんですね〜。あは、あはは…」
 何はともあれ、スティーブンはギタリストのパーティー仲間になれたことに喜びを感じたのであった。


 そのあとは、お互いに写真を撮り合ったり、7月8日に誕生日を迎えたアミアンと7月9日に誕生日を迎えたスティーブンのために用意したケーキをみんなで食べたりと、ギタリスト・パーティーのお楽しみは最後まで尽きませんでしたとさ。
作品名:Guitarist Party 作家名:藍城 舞美