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ワタリドリ
ワタリドリ
novelistID. 54908
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それでも太陽は赤く染まる!第20回「青い空の下で!」

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「どっちなんだ!ごちゃごちゃ何言ってんだかわかんねんだよさっきから!はっきりしゃべれよ、女かてめえは!締め上げるぞマジで!もういいわ!てめえが持ってるスマホか携帯あるだろ。出せ!(# ゚Д゚)」

再び、襟首をぐいっとつかまれるひとし。

ひとし、も再び冷や汗で鼓動がバクバクになり、恐怖で願望するように!

ひとし
「す、すみません!やっぱりどうしても言えないです!それから、携帯もスマホもないです。友達いないので!(^ω^#)」

梶谷、ひとしのそんな態度についに怒りが爆発したのか、襟首をつかんだままいきなり大声で「腹立つなあ~、おまえ!(# ゚Д゚)」ともう一方の手で。ひとしのズボンの左右前後ろのポケットに乱暴に手探りで突っ込んできた。

ひとし、突然の出来事にかなり動揺して両手で持ってつかんでいたハンドルが離れて自転車をまたもやガシャーンと倒してしまう・・・。

ひとし
「えっ!ちょ、ちょっとやめてください!ほ、ほんとに何もないんです!Σ(☆Д☆)」

梶谷の興奮した熱い息と目前の首筋に振動で何度も顔があたると少し汗ばんだ生温かい香りがひとしの鼻をついてウっとなった。しかも運動で鍛えてるせいか腕や身体の筋肉と骨の固い感触が生々しく伝わってくる。

梶谷、がしがしと探る手を止めずに不満を愚痴るように・・・。

梶谷
「マジ、くそイラつくんだよてめえ!この自己中やろうが!どういう教育受けてきたんだ~今まで!それとも生意気ないじめられっ子の不登校児か!だっせ~!生きてる価値ねーぞ!(# ゚Д゚)」

梶谷にされるがままパニクッてると、ちょうどその瞬間、「プップー!」と向こうから走ってきた赤いスポーツカーにクラクションをならされ、ふいにつかまれていた襟元の力が緩んだ。細い道路の真ん中で言いあっていたのでさすがに通行人には邪魔になるはずだ。

しかも中に乗ってたアベックらしく二人のサングラスをかけていた男女には、もめていた今のひとしたちの様子がかなり異様な光景に映っただろう。
ひとしは梶谷がスポーツカーの方に振り向いて気を取られているこの時を逃さずに、すかさず倒れた自分の自転車を無意識に起こすとそのまま横に惹きながら猛スピードで突っ走っていった。

梶谷
「おい、まてこのやろお~~~!(# ゚Д゚)」

だが、梶谷も反射的に逃げるひとしに気づいて、すぐに、走るように追っていく。部活で鍛えてるせいか殺意じみた目に走る勢いが凄まじい。さっき引きずっていた足がまるで嘘のように速い。

ひとし
「(わああああああ~~~~~~~~~~~!Σ(☆Д☆)」

ひさにペダルをぶつけながら、心の中でさけぶように振り向きもせず恐怖にひきつられ半泣き顔で走って行くひとし。

「プップー!」それでも2度目の強いクラクションに梶谷の倒れたままのマウンテンバイクが邪魔になってるのに気づくと梶谷は逃げるひとしの背中に息荒げ舌打ちするように、途中でかけ戻っていった。

それには気づかずに息をきらしながら死に物狂いでかけ走って行くひとしだったが、まさかこの皮肉にも、痛々しい出会いがこれからの1年、先の長い人生に彼が心のささえの大切な架け橋となるだなんてこの時のひとしにはまだ夢にも思わなかったのだ。

雲ひとつない青空に輝く太陽だけがそんな空回りしているひとしをあたたかく見守っていた。