小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「熟女アンドロイドの恋」 第二十五話

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

「そういう可能性も考えうることです。ではそうではないことを証明するにはどうしましょうか・・・では英語圏の方とフランス語圏の方とドイツ語圏の方とスペイン語圏の方に前に出て来て頂きましょう。おられますか?」

時間がかかってスペイン語ではなくポルトガル語圏の男性が前に進んだ。
AD-MNはそれぞれに流ちょうな言葉で挨拶をした。
AD-WAもそれに続いた。

「如何ですか?彼と彼女は言語変換機能を使って話しているのです。もっとマイノリティーな言語でも会話が可能です」

拍手が起きる。

いくつかの質問が終わって最後に一人の男性が手を挙げてAD-WAに聞きたいことがあると言った。
それは平山であった。

「アンドロイドとはいえ顔は声の主と同じに作られているのではないですか?」

ちょっと周りがざわつく。

「はい、その通りです。この身体に記憶されている意識の持ち主は枇々木潤子と言います。現在55歳です。そして、男性の意識はこのアンドロイドを研究開発した内藤肇という人です。二人ともアメリカに住んでいますがそれは特別な理由からです。我々は今回特別な理由を持ってこうしてアンドロイドという形で日本へやってきました」

さらにざわつく。平山が質問を続けた。

「アンドロイドは本人の意識を移して考え話し行動するのですね?だとしたら私の質問に答えているのはあらかじめインプットされている内容ではなく、枇々木潤子さんといわれる女性と内藤肇さんと言われる男性そのものと変わらないという事になりますか?」

ストリーツカに視線が集まる。

「ご質問の件はその通りだと申し上げますが、だからと言って本人であるという証明は出来ませんから、発言に対する責任は発生しません」

「了解しました。せっかくここにたくさんのお客様やマスコミ関係の方達が集まっておられるので、何か仰りたいことがあれば聞かせてもらえませんか?」

会場内がシーンとする。

「平山さまと言われましたね。隣に居る内藤はご存じのはずですよね?」

また会場がざわつく。

「はい、内藤肇さまは日本に居られたときにわたくしが代表を務めている、85年航空機墜落事故遺族会の日本政府に対する訴訟のお手伝いをして頂きました。しかしながら、控訴審請求のための新証拠が見つからないと解決済みと裁判所は却下してきました。ここに居る枇々木潤子さんがあの事故の知られざる生き残りであることを聞かされ今度は裁判に持ち込めると期待しましたが、大きな力で国外退去を余儀なくされこうした形で帰国せざるを得なかったとわたくしは考えております」

会場に居た記者の一人が手を挙げて質問を要求した。
ストリーツカは時間が来たと中止の意志を示したが、会場内のざわつきをこのまま放置することは後日に禍根を残すと考え、最後の質問とすることを条件に許可を与えた。