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逆行物語 第六部~奇跡の軌跡~

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ランプレヒト~大領地エーレンフェスト~



 ジルヴェスター様が高みに昇られた際、ローゼマイン様とフェルディナンド様もまた、高みに昇られた。お2人はジルヴェスター様に名を捧げていたらしい。ジルヴェスター様はご自身が長くないと知った時、お2人に名を返そうとしたらしいとはヴィルフリート様のお話だ。
 まあお2人共、お断りになったらしいが。
 ヴィルフリート様は成人と同時にアウブをお継ぎになられ、エーレンフェストは更に発展し、ユルゲンシュミットを巻き込む勢いとなった。
 押しも押されぬ1位の大領地となったのは、跡継ぎ問題に苦しんだアウブ・アーレンスバッハによる領地返還によるモノだ。
 当初は隣領地のエーレンフェストがアーレンスバッハを預かり、レティーツィア様が成人すれば、執政権をお返しする積もりであった。
 しかしヒルデブラント王子がグルトリスハイトを手にした事で、真なるツェントとして、王位を継ぐ事になり、レティーツィア様はツェントの第一夫人として嫁ぐ事になり、アーレンスバッハは正式にエーレンフェストに統括されたのだ。
 今やライゼガングは完全に埋もれた。それに不満を持つ者は居ない。昔の栄光を直接に覚えている人間は既に高みに昇り、ヴェローニカ様に冷遇された世代より、アウブによる優遇されないだけの世代が増えた。
 昔を懐かしむ者もおらず、昔の嘆きを理由に頑なになる者は執政から完全に外れるか、居なくなっている。不満が全く無い訳では無いのだろうが、あの時代を知る者からすれば、平和なモノだろう。
 
 ――平和には平和に相応しい問題があるものだがな――

 そうヴィルフリート様は仰ったが、既に高齢でアウブを引退されている為、執政には口を挟んでいない。たまに頼まれて、赴く事がある程度だ。今の様に。
「お久し振りです。お互い、年をとりましたね。」
「本当に…、懐かしいものです。ヴィルフリート様。」
 時代は様変わりし、今や領主会議でもなければ、神々に例える会話をする事は無い。日常会話は殆どこの様な流れだ。
 本日はヴィルフリート様に客人を迎えて饗して欲しいと依頼があった。客人はハンネローレ様だ。彼女は貴族院時代、ヴィルフリート様と同年代だった為、白羽の矢が立ったのだろう。ハンネローレ様の目的は所謂観光だった。
 エーレンフェストは高級素材の宝庫と言われ、それを他領との取引に使っていたが、ある時期から高級素材取り放題と言う名目で、エーレンフェストに旅しませんかと、旅行産業を行い始めた。
 その利益で領内を美しく整え、平民(富豪)向けの観光を行い出した。そうしてお金が回り出すと、貧民層や農業層に向けて、慈善産業を施し始めた。その為、今の平民は学があり、今まで一方的に命じるだけだった間柄が、対等近く話し合うまでに変わって来た。