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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第二十話

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「ある程度は可能ですが、ここぞという時に思考回路が停止する恐れがあります」

「なるほど、凡庸な判断は出来ても、感情が揺さぶられる高度な判断が出来なくなるリスクがあるというわけだ」

「その通りです。下級兵士なら感情に走らないようにブレーキになりますが、上級兵士には究極の決断を鈍らせることにもなります」

「今回は初回テストという事でリスクを減らそう。マックスではなく50%程度の判断レベルで意識をコントロールさせて欲しい」

ストリーツカの指示で内藤は人工頭脳の判断レベルを下げて意識を移植した。
記憶プレートが首の後ろ側にあるリーダー開口部に差し込まれた。ここは銃撃を受けても余程でない限り破損しない強い構造になっている。
フル充電された小型バッテリーから心臓部にあたる記憶プレート読み取り装置に電流が流れる。

目にあたる単眼カメラが外の映像をコンピューターへ送る。関節にあたる足首、膝、股関節、肩、ひじ、手首、指などに人工頭脳と結ぶ神経にあたるバイオ素子が膨大なデータを蓄えてゆく。
ストリーツカは不思議な感覚に襲われていた。それは夢の中に居るような感触に近い。時間と共にだんだんとハッキリとしてくるので夢ではないと分かる。

口は動かないが音声はデータ化されそのまま小型スピーカーから発音される。かなり自然に近い電子発信音という感じだ。

「ナ・イ・ト・ウ・サ・ン」

初めて口に出した言葉は日本語だった。自動的に数か国語に翻訳されて話せる。もちろん相手の言葉も自動的に翻訳され耳らしき場所にある聞き取り装置でキャッチして、バイオ素子から人工頭脳に伝達される。自然と耳から聞こえるような精巧なシステムを完成させていた。

「ストリーツカさん!日本語で話していますよ。素晴らしい!」

「ナイトウサンのコエモ、エイゴデキコエマス。スバラシイ!」

この後一時間ほどで機能は100%稼働して、いよいよ実験が開始される。
研究所構内を巡回していろんなことを試してみようとアンドロイド一号はゆっくりと動き出した。いや、歩き出した。