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川面には枯れ葉一枚落ちていない
純粋な上澄みの流れは柔い風と同じ方向に連なっている
どこへいくのだろうかと問うと
そんなことはどうでもいいと答えるヒトがいた

川面は大量生産品のような鱗で覆われていた
風がつくる波紋か
水中の小魚の鱗が剥がれて浮かんでいるのか
心なしか、川面は赤く染まって見える
土手沿いを流れと並び歩いて
川と、どちらが速いかと問うと
そんなもの、川を見ながら歩けばわかるとヒトが答えた
ヒトはそのあと無数の同じ鱗を見ながら困ったように立ち竦んでしまった