しゃぼんだま
もうすっかり、6畳ほどしか残っていない
私はべっとりとした中でぷくうとそれらを膨らませた
菜の花の黄色に染まらないそれらの浮遊を見た赤と青の子が
菜の花を薙ぎ倒しながら、やってきた
赤い子は一際大きなそれを掴もうと躍起になり
青い子は一際小さなそれを赤い子に掴まれまいと守っている
どこかの家の夕飯の匂いと密度の濃い菜の花の匂い
一緒くたにまとめて、私はもう一度ぷくうと膨らませてみた
浮かんだそれには油が匂いを連れてぐるりと回り
差し込んだ夕景が、周りに暈をつくった
そして、それらの内の一つだけがぱっと弾けた