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月とコンビニ
月とコンビニ
novelistID. 53800
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化粧

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私は化粧をします。

化粧は何も自分をよく魅せるためにするのじゃない。

前の女の匂いを消すこと。
上書き保存します。
丁寧に隅々まで、彼に私の匂いをつけていく。
消えた?いいえ、まだです。
女の匂いというのは、お風呂に入ったくらいじゃ消えないのです。

耳の裏
髪の毛の隙間
口の中まで

もっと私を知ってほしい。

今こうして抱き合っているのは、離れたくないからじゃない。
離れたときに私を思い出してもらいたいから。

忘れてほしくないから。


だから私は化粧をします。
作品名:化粧 作家名:月とコンビニ