期待してるから♡
「…?」
名倉家の居間。
ドアを開けた希穂さんは、腕を組んで 居間のソファに沈み込んでいる、兄の浩紀君に気が付きます。
「─ 何してるの」
「困ってる」
天井を睨んだままで浩紀君は答えました。
「…ユッコさんの誕生日プレゼントにね」
部屋に入った希穂さんが、後ろ手にドアを閉めます。
「今年は、何が欲しいか…訊かなかったの?」
「サプライズが、ご所望なんだって。」
希穂さんは、ソファの浩紀君の隣に、乱暴に身を投げました。
「まだユッコさんに、私がコウ兄の妹だってバレてないからこそ出来るサプライズがあるんだけど…教えて欲しい?」
「実現可能なアイデアなら<カフェ敦賀>のケーキセットを奢るのも…吝かではない」
「話が早くて嬉しいわ。あ・に・う・え♡ 」