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紀之介
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こっちのもの
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「チェックアウトの手続きを」
私の動きを、フロントの女が手で遮った。
「料金は結構です。」
「─」
「島様には、色々と お世話になりましたので…サービスさせて頂きます」
「…では、遠慮なく」
カウンターから離れようとした瞬間、ファイルが差し出される。
「何ですか? これは…」
「ホワイトリストです」
「え…?」
「島様の宿泊を、歓迎するホテルの一覧ですわ」
思わず伸びる私の手。
女は、明るく囁いた。
「世の中…捨てたもんじゃないですよ♡」
作品名:
こっちのもの
作家名:
紀之介