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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第十七話

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「その裁判に内藤さんと梓さんが出席しないという条件をこちら側の最低条件として諮ってみることには賛同いただけますか?」

「証拠としてアメリカ軍の誤射が裁判で公表されるのなら、その条件をのみましょう」

「わかりました。日本政府との交渉が必要となりますので、しばらく時間をください。今日は仮契約という形で署名して戴けませんか?」

「仮で良ければさせて頂きます。本契約にはエイブラハムさんも立ち会って、保証人という形で署名するのですね?」

「その通りです」

内藤はストリーツカの依頼でアメリカ軍の調査機関を経て、日本に居る遺族会への新たな証拠として真実が語られることを信じることにした。
この受け入れに妻の梓は少し不満を漏らした。アメリカ軍のミスが判明しても、日本政府や自衛隊は時効を理由に簡単な謝罪ぐらいで終わらせるだろう、という危惧を感じていたのだ。

どのような内容の報告書が作成されるのか分からないが、都合の悪い人物が乗っていた民間機を故意に狙って墜落させた、とは決して言わないであろう。
訓練中に誤って発射した練習用ミサイルがたまたま近くを航行していた民間機に接触した。そしてそのことが原因ではなく事故調査委員会で報告されている圧力隔壁の整備不良があくまで事故機の墜落原因であると謳うであろうことは明らかだ。

内藤はこれで良いのかと何度も自分に問いただしていた。
アメリカにとって不都合だった事故犠牲者の枇々木浩介は梓の父親だ。自分が助かったとはいえ、一家を計画的に殺害したアメリカ軍の行為を許せるわけがない。
内藤にとっては自分の父親を拉致したのはアメリカ軍ではない。たとえアメリカ軍のミスが公になっても日本政府は強く謝罪を自衛隊にも求める程度で終わる。航空会社からは遺族に支払われた多額の見舞金をアメリカ軍に求める訴えを起こす程度が社会的な制裁となる程度だろう。
しかも時効が成立している。謝罪はしても真実が全て表沙汰になることはない。

内藤にとっては自分の父親を誰が拉致したのかということを追求しないと終わらない。