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逆行物語 第一部~ダームエル~

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エーレンサンドリア


 
 ツェントは命を出した。様々な思惑が絡み合う中で。

 エーレンフェストとアレキサンドリアを統合し、領地名をエーレンサンドリアと改名せよ。
 フェルディナンドに名を捧げていた者の一族を投獄せよ。
 中継ぎアウブにヴィルフリートを起き、レティーツアの成人に合わせ、アウブを交代せよ。

 この3つの王命に不満が無い訳では無い。だが当時の領地間の情勢とエーレンフェストとアレキサンドリアの混乱を考えれば、致し方が無かったのだ。
 ヴィルフリート様は粛々となりたくないアウブを承れた。だがそれに納得しなかった者達が居た。ライゼガングの老害達だ。
 彼等は元より、ガブリエーレ様に不遇を強いた一族だった。アーレンスバッハの無理強いと言うが、それは真実そのものでは無かったと、アーレンスバッハの貴族と接する今なら解る。結局、エーレンフェストにも非があったのだ。
 彼等の卑劣な行いは政にて返された。そうしてヴェローニカ様が台頭され、ジルヴェスター様の決断により、排除され、復活と相成ったが、ライゼガングは勝者になったのでは無い。
 故にヴィルフリート様に当たり散らされ、ローゼマイン様を持ち上げて来た。ローゼマイン様がアレキサンドリアに行った後は、ブリュンヒルデ様にすり寄っていたらしい(エーレンフェストを乱すカーオサイファの従者がいる限り、アウブ・エーレンフェストとの春を望めぬ、とブリュンヒルデ様は嘆く振りをしていた様だ)。
 その愚かな者達により、フロレンツィア様が祭り上げられてしまったのだ。ブリュンヒルデ様の子が無い為、結局、アーレンスバッハとヴェローニカ様の影響が無いアウブをフロレンツィア様の、ヴィルフリート様以外のお子から選ぼうとなったのだ。
 この勢いを夫の後ろ楯と、派閥の重鎮ーエルヴィーラ様を中心にした信用出来る側近達ーを失ったフロレンツィア様が抑えられなかったのは無理も無い。しかも蓋を空けてみれば、ライゼガングは足並みを揃える事が出来ないと来た。
 …勝手にレティーツア様の暗殺を企み、あろう事か成功させてしまったのだ。しかも足並みが揃っていないが故に、シャルロッテ様派がメルヒオール様派に罪を全て押し付けようとされ、そこから瓦解して、真実が明らかになってしまったのだ。
 しかも調べてみれば、メルヒオール様の派閥と手を組んでの事だったのだ。只の領地内政争ではなく、王命に逆らった反逆罪だ。アウブとなった、ヴィルフリート様の決断は早かった。
 お辛かったろう……。彼は関わった全ての者を処刑、その一族を終身刑に処した。

 そう、ヴィルフリート様は家族に処刑、若しくは終身刑を言い渡すしか無かったのだ。

 そして大領地とは名ばかりになったエーレンサンドリア。それを立て直したヴィルフリート様は、ジルヴェスター様の決断力と情深さに、フェルディナンド様の知略が合わさった器に成長されていた。支えていたハンネローレ様のお力もあり、ローゼマイン様の遺産を見事に復活させた。
 そして大領地から婚姻の話が再び出る様になったのだ。

 カルステッド様の一族が失脚されていた為、ヴィルフリート様の側近は影響を受けていた。私に側近の打診が来たのはその為だった。
 しかし…、私の主は、心からお仕え出来る主は、ローゼマイン様只お一人。あの方が居ない故郷では、失ったモノが目に付き過ぎる……、多過ぎるのだ。頭では理解しても、納得が行かないのだ。

 ああ…、本当にどうしてこうなったのか……。

 取り戻せない日々を、私は嘆き続けている。

続く