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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第十五話

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内藤は梓の顔を見てからそれに答えた。

「エイブラハムさん、事ここに至るまでのことを考えてみてください。梓はアメリカでも狙われていると察知してここへ避難したのでしたね?
そのアメリカへ行くことがどうして最善だと言うのですか?」

「それは、ストリーツカさんという強力な援軍を得られたからです。軍の機密を握っている企業でもあるので、誰も簡単に手を出せないということは明白な事実です。
彼らの研究所は防犯に関しては完璧です。日本政府への帰国交渉はアメリカ政府高官に手を回して行うとストリーツカさんも話してくれました。ここに居られる国王も必要であれば根回しをすると約束してくれています」

内藤は国王がその言葉に反応するように頷くのを見て返事をした。

「私はアメリカで研究を完成させることが不満だと言っているのではありません。むしろ最大の喜びであると感謝をしています。
しかし、そのことと自分がやらねばならないこととは別次元です。
優先順位がどちらにあるかでこの問題は進め方が違うということです」

国王が内藤に質問した。

「内藤さん、あなたにとって日本国で行われる裁判に出席するということが最優先事項であるという認識なのですね?」

「国王、その通りです。日米両国で私を追い出したのですから、簡単に入国許可は出さないでしょう。唯一あるとすれば私の技術なんです。日本に居る時には半分完成だったものが、こちらへ来て99%にまで近づきました。
この技術が敵対国に渡ることは防衛上好ましくないという立場を利用して、帰国を交渉します。政府は未来をとるか過去をとるかの選択になるでしょうね」

「こう言ってなんですが、そのやり方は非常に危険です。我々の周りにいるイスラムのやつらのやり口はよくご存じでしょう?
どちらの国家に仲介を頼もうとされているのですか?」

「気になりますか?国際指名手配をされている私と妻が脱出できる国と言ったら一つしかありません。日米に対抗している国です。経済的にも恵まれていて、それなりの技術力もある国家と言えばお判りでしょう」

エイブラハムがたまらず口を挟む。

「何ということをお考えですか?日本に居る同胞たちを裏切る行為に値すると思われませんか?」

「それを言うならストリーツカさんを操って日本と結託をしているアメリカはさらに自国民と日本人を裏切っていると思いますけど、違いますか?」

「日米が隠ぺいしてきたことはいまさら判明しても誰も喜ばないことです。しかし、内藤さんがやろうとしていることは今後に日本の重大な安全を脅かすことになるものです。その違いを単純に個人的な優先順位で片付けることは間違っていると言わざるを得ません」