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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第十三話

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ビジネスとして考えれば内藤個人との契約にした方がスムーズに行くし、先々保証人がどう動くか不透明な部分もある。それをあえて律儀を装って口に出したことは冷静になって考えればストリーツカの後ろにも誰かが居るということを予想しなくてはいけなかった。

イスラエル国家が核戦争になった時、住民を避難させて軍隊だけが後始末のために残されたが、放射能の危険にさらされ次々と体調を崩し戦列を離れたため、相手国の侵攻を許してしまった。
国連の決議案で新しく軍事停止ラインが引かれ、アラビア半島の南に避難していた人民が戻れるまで監視所を国連部隊が守る形をとっている。

アメリカはこの結果を受けて核戦争になった場合地上に部隊を派遣できないことから、その対応策としてAI機能を備えたロボットの製造を始めていた。
内藤の研究はそれを一歩進めたアンドロイド計画にまで大きく前進させるシステムを完成させていた。

これまで戦争に核兵器を使えなかった最大の理由は大きすぎる殺傷能力と併せて、放射能汚染であった。それはイスラエル国家の核兵器使用で証明された。
戦争に犠牲はつきものだとしても、自軍の核兵器で兵士たちを放射能汚染させるわけにはゆかない。
そこで考えられているのが、クローン兵士部隊とAIロボットだった。
クローンに関しては実用段階に来ていたが、人権擁護団体や感情を持つ人間としての苦しみを与えてはならないとする市民からの反発が強く放棄せざるを得なかった。

一部の人権を無視してきた国家がクローン兵士を作り戦場に送り出すという事態に備えて、対人間ではなくロボットで迎え撃つことが最善策であると多くの国家は考えていた。アメリカはその最たる国家でくすぶっている中東の決着にAI部隊を試験投入して無人攻撃にめどを立てていた。
内藤の研究がエイブラハムを通じてストリーツカに伝えられたことで、軍部のトップにその情報は渡っている。

もし内藤が85年の墜落事故にかかわらなければ、既にアメリカのストリーツカは莫大な予算を投じて国内に研究所を建て、何がなんでも引っ張って来たであろう。
複雑な諸事情を聞いて今回の措置をとったことは日本政府ではなくアメリカの軍部だったのだ。
そして、過去に在日米軍の不適切な行動が表沙汰にされる危険を知らされて、エイブラハムに手を打ったその人物こそストリーツカだったのだ。