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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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第6話 いきなり降臨!? 闇の王VS宵の魔法つかい!


「小百合、おっはよ〜。今日から学校だよ!」
 昨日の夜とはうってかわり、朝いちばんからハイテンションなラナに小百合は圧倒された。昨日の涙はどこへやらである。
「今日から魔法学校に一緒に通えるんだよ! 楽しみだね〜」
「一緒っていっても、わたしは魔法学校の生徒とは認められていないのよ。それに、まだあんたと一緒の教室で勉強はできないの、残念ながらね。あと、魔法学校の制服もないしね……」
「それなら大丈夫! ちゃんとあるよ!」
「いっておくけど、あんたの制服は小さすぎてとても着られないからね」
「あれぇ、そうなの? でも試してみたら?」
「無理に決まってるわ、そんなの見ればわかるでしょ」
「小百合ってそんなに太ってたんだね」
「太ってないわよ! 背の高さが全然違うでしょ!」
「そっかぁ、困ったね〜」
 あっけらかんとして言うラナに思わずため息が出る。小百合は昨日の夜にラナが泣いていたのは夢のように思えてきた。しかし、制服がないのは確かに困る。生徒と認められてないとはいえナシマホウ界の服ではあまりに奇抜すぎる。
 小百合がどうしようか考えていたらお腹がすいてきた。そこへエリーがバスケットをもって現れた。
「朝食を持ってきたわよ」
「うわ〜い、ありがとうエリーお姉ちゃん!」
 ラナが両手を上げてエリーに駆け寄る。それからささやかな朝食は始まった。テーブルの上にパイ生地が網目状に折り重なった四角いアップルパイやホールのアップルパン、パンにはアップルジャムとバターがそえられ、透明のビンには搾りたてのアップルジュースが入っている。さらにエリーはキッチンに入ってリンゴの生果とアップルティーも用意した。
「キュアップ・ラパパ、ナイフよパンを切ってちょうだい」
 エリーが先端に真っ赤なリンゴのオブジェの付いた魔法の杖を振るとナイフがひとりでに動いてホールのアップルパンを八等分に切り分けた。エリーはさらに魔法の杖を操ってパンを一切れずつそれぞれの皿に乗せていく。エリーの魔法の手際に小百合は感動した。エリーの魔法が今まで見た魔法の中で最も完成されていて優雅さもあった。
「さあ、準備できたわよ。遠慮しないで食べてね」
「すごいわ、リンゴ尽くしね」
「美味しそうデビ〜」
「リンゴ村の食事はどうしてもこうなってしまうのよね」
「とても素敵な朝食です」
「いただきま〜す!」
 ラナはアップルパイから手をつける。リリンも机の上によじ登り、アップルパンをほおばる。小百合が最初に選んだのは生のままのリンゴだった。リンゴ村やラナのことを少しでも知るために、まずは村でとれた純粋なリンゴの味を知っておくべきだと思ったのだ。まず、フォークで切り分けられたリンゴの果肉を刺してよく見てみる。芯の方だけではなく、白い果肉の中にまで粒状に蜜が入っていて見るからにうまそうだった。それを一口食べて小百合は味わったことのない旨さのリンゴに目を見張った。
「おいしい! このリンゴ美味しすぎるわ!」
「そうでしょ〜。リンゴ村名物ハッピーアップルだよ! 一口食べたら甘くておいしくて幸せハッピーな気持ちになれるでしょ!」
 ラナの言うことは決して大げさではなかった。エリーがアップルティーを入れながらいった。
「ハッピーアップルは魔法界ではピーカンミカンに並んでポピュラーな果物なのよ」
 小百合はその話を聞きながらアップルパンを手に持つ。するとパンとは思えないずしりとした重みが伝わってきた。よく見ると白いパン生地の間にリンゴの果肉がたっぷり詰まっていた。このパンの重量の半分はリンゴなのである。一口食べるとふんわりもちもちのパンと甘酸っぱいリンゴが溶け合い、口の中でシンプルでありながら深みのある味覚の音色を奏でる。例えるなら世界的ピアニストによるリサイタル。ピアノというたった一つの楽器から生み出される7色の音はパンとリンゴだけで人を感動させる味に精通するものがある。小百合はあまりのおいしさに半分を一気に食べた。そこでアップルティーを一口飲んで一息つくといった。
「このパンは今まで食べたパンの中で一番おいしいです。この中に入っているリンゴはハッピーアップルじゃないみたいですけど」
「よくわかったわね。アップルパンとアップルパイに使っているのはスカーレットアップルよ。このリンゴは酸味が強くてそのままで食べるのはちょっと辛いんだけど、今味わってもらった通り、料理に使うと素晴らしい味になるのよ。お菓子職人や料理人にはスカーレットアップルを求める人が多いの」
「他にはどんなリンゴがあるんですか?」
「色々あるわよ。メロンの味がするマスクアップルとか、いろんな味を楽しめるレインボーアップルとかね」
 それから小百合はエリーのリンゴ話を興味深く聞いていた。ラナはそんな話など聞かずにパクパク食べまくる。やがて食事が終わってお茶を飲んでいる時に小百合はため息交じりにいった。
「魔法学校の制服はどうにもならないわね。あまり目立ちたくないけど、持ってきた服を着ていくしかないかしら」
「あら、魔法学校の制服だったら昔着ていたのがあるから貸してあげましょうか?」
「本当ですか!」
「ええ、あなただったらサイズはちょうど良いと思うわ」
「そうですね、エリーさんは背も高いしスタイルもいいですから合いそうです」
 それを聞いたラナがリンゴジュースを飲み干したコップを置いていった。
「うわ〜、間接的に自分のこと自慢してる」
「べ、べつにそういうつもりで言ったんじゃないわよ」
 とにかくエリーから制服を借りて魔法学校にいけることになった。ただ、少し問題があった。小百合が制服に着替えてその姿を二人に見せると、最初は二人とも喜んだ。
「うわぁ、小百合すっごく似合ってるよ〜。もう一人前の魔法つかいみたいに見える〜」
「長い髪がいかにも魔女という感じでぴったりね」
「姿だけ立派でも意味はありません」
 小百合はラナとエリーに無感動に答える。その後でラナが首を傾げて疑問をあらわにした。
「あれぇ? この制服ちょっと違う〜」
 その違いには小百合も気づいていた。とんがり帽子にリンゴのアップリケが付いているのと、胸元のストライプのリボンタイの代わりにリンゴのブローチが付いているのだ。
「そのリンゴのアップリケとブローチはリンゴが大好きだから付けていたのよ」
 当たり前のようにいうエリーにラナは明らかに腑に落ちないという表情だ。
「これって校則違反だよねぇ? 怒られるんじゃなあい?」
「教頭先生には注意されたわね。でもわたしの実家がリンゴ農家だっていう事情からお許し下さったのよ」
「え〜、うそぉ!?」
 いつものほほんとしているラナが今のようにはっきりと驚くような姿は滅多にみられるものではない。それをよく知っている小百合には、ラナの驚愕から教頭先生の人格がだいたい想像できた。そしてその教頭先生に見つかったらやっかりな事になりそうだと思った。
 小百合が腰のポシェットにリリンを入れ、それから二人で箒に乗って学校へ。小百合の魔法学校への初登校であった。