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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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第4話 敵!? 味方!? 交錯する光と闇の伝説!


 リコが魔法界に闇の結晶を送ってから三日後のこと、みらいとリコはテーブルの上にある水晶と向かいあって話をしていた。
「君たちが送ってくれた黒い結晶を調べたところ、恐ろしい事実が判明した。これは闇の魔力の結晶体なのだ」
 水晶に映る校長は黒い結晶を手にもってそれを見つめていた。
『闇の魔力の結晶体!?』
 みらいとリコの声が重なると、校長は頷いていった。
「なぜこのような物がナシマホウ界に出現しているのか、詳しい事まではわからない。いま確実に分かることは、この闇の結晶を放っておけば、ナシマホウ界に闇の魔力があふれ、途方もない災厄を引き起こすということだ。それは天変地異か、または人間同士の争いか、とにかくナシマホウ界を滅ぼすような恐ろしいことが起こる。それを防ぐには、この闇の結晶をできるだけ早く回収して浄化することじゃ。皆で協力して集めてもらいたい」
「校長先生、分かりました」
「でも、わたしたちだけで集められるのかな」
 みらいがリコに向かって心配そうにいう。
「確かに、ナシマホウ界中に結晶が現れているとしたら、わたしたちだけで集めるのは難しいわね」
「心配ない、恐らく結晶の出現は津成木町に集中している。一つでもかなり強力な魔力を秘めている代物(しろもの)じゃ、数はそう多くはあるまい。それを一人であれだけの数を集めたのだからな。津成木町に水晶が集まる確かな理由もある。過去に君たちが闇の魔法使いやデウスマストの眷属と幾度となく戦い、それによって大きな魔力が放出されたことで、いまだに強力な魔力が残留(ざんりゅう)しているのだ。魔力の塊であるこの結晶は、津成木町に残留している強い魔力に引き寄せられて現れている。つまり、津成木町はこの闇の結晶を引き寄せる巨大な磁石となっているのだ」
「それなら、わたしたちだけでも何とかなるわ」
「津成木町のことならまかせてよ!」
「みんなで闇の結晶を集めて世界を守るモフ!」
 リコ、みらい、モフルンがいうと、水晶の向こうの校長が微笑を浮かべる。
「3人とも頼りにしているぞ。結晶を集めたらテレポッドで送ってくれ。こちらでは、この結晶を浄化する方法を考えておこう」
 そして水晶玉から校長の姿が消える。
「よーし、今日は日曜日だし、一日中街を歩いて闇の結晶をたくさん見つけちゃおう!」
「頑張るモフ〜」
「手分けして探しましょう。魔法を使えば効率がよくなるわ、もちろん誰にも見つからないようにしてね」
 こうして3人は、闇の結晶を探すために街へと出ていくのであった。

 みらい達が魔法学校の校長を話をしていた時、小百合たちは菜の花の園でフレイアに会っていた。咲き乱れる菜の花の中に立つ少女二人と漆黒のドレスの神秘的な雰囲気の女性、その三人を心地の良い春風が抱擁する。リリンは花畑の中でかけたり飛んだりして遊んでいた。
「こんなにたくさんの闇の結晶を集めて頂き、ありがとうございます」
 フレイアはいつもと同じ笑顔で目の前の少女たちにいった。すると、神妙な顔をしている小百合が切り出す。
「フレイア様、少し気になることがあります」
「あら、なんでしょうか?」
「最近、目星をつけた場所にいっても闇の結晶が見つからないことがよくあります。私たち以外にも闇の結晶を集めている人がいるとしか思えません」
「……その事ですが、じつは少し困ったことになっています。伝説の魔法つかいが現れて、魔法界に闇の結晶を送っているようなのです」
「伝説の魔法つかいなら、この前見たよ!」
「そうですか、あなた達は伝説の魔法つかいを知っているのですね」
 そういうフレイアに、ラナが何度も頷く。
「伝説の魔法つかいは、恐らく魔法学校の校長に闇の結晶を送ったのでしょう」
「校長先生に? なんで?」
 ラナが首を傾げる。その校長先生を知らない小百合は、ただ黙ってフレイアの話を聞いていた。
「それは、彼女たちが魔法学校の校長とつながっているからです。彼ならば、闇の結晶を誰の手も届かないところに封印するくらいのことはできるでしょう。それはわたくしの望まない事態です。わたくしには、どうしても闇の結晶を手に入れたい理由があるのですから」
「わかりました、迅速(じんそく)に闇の結晶を回収します。そして、可能であれば伝説の魔法つかいから闇の結晶を奪取(だっしゅ)します。フレイア様のために、そうする必要があると思います」
「ええぇっ!?」
 小百合が平然として言ったことに、ラナが驚いて声を上げた。それに対して、フレイアは無言で頷いた。それを見たラナは悲しみと不安が混じった暗い表情になっていく。
「そ、そんな、それって伝説の魔法つかいと戦うってことだよね?」
「それは時と場合によるわね。必ずしも戦う必要はないわ」
「でもそれじゃ、伝説の魔法つかいとは仲良くなれないよね……」
「あんたはフレイア様がいったことを聞いてなかったの? フレイア様は伝説の魔法つかいのせいで困ってるのよ、仲良くなんてなれるわけないでしょ」
 小百合がいうと、ラナはうつむいて黙ってしまった。
「プリキュア同士で戦うことは非常に危険です。戦いは可能な限り避けるべきでしょう」
「わかりましたフレイア様、よく覚えておきます」
 フレイアが最後にいった言葉でラナの中に少し希望がわいた。戦いを避けるのならば、伝説の魔法つかいと衝突するようなことにはならない、ラナにはそう思えた。
  
 フレイアとの対面のあと、小百合とラナは公園の中を歩いていた。いつもうるさいくらいに話しまくるラナが、この時はうつむき加減で黙っていた。小百合にはラナの思いが手に取るようにわかっていた。
「あんたの気持ちはわかるけど、わたしはなにがあってもフレイア様のお望みを叶えるわ。それが正しいことだと感じるのよ」
「うん、わかってるよ。わたしはフレイア様も小百合も信じてるよ」
 二人が公園の中を歩いていくと、後ろから幼い子供たちが走ってきて小百合たちを抜いた。そして、子供たちが走っていく先の桜の樹の根元に猫が集まっていた。その数は十や二十ではきかない。
その集まった猫たちの中心に少女がいて餌をあげている。それを見たラナの表情から暗さが消え、代わりに青い瞳を輝かせ可愛らしい猫たちを愛でる笑みをうかべる。
「あ、ネコお姉さんだ」
「ネコお姉さん?」
「小百合しらないの? 学校で噂になってるんだよ。公園に集まる猫に餌をあげる美人のお姉さん! 公園の名物になりつつあるって!」
「猫は公園に集まるんじゃなくて、あの人に集まってるんじゃないの?」
 二人が近づいていくと、その間にも3人の子供がきて、ネコお姉さんに言っていた。
「猫さわってもいい?」
「勝手にしな」