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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第九話

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「私が居たからだろう。アメリカにとって私に危害を加えることは本意ではなかったと思える。あの時、魔王でキミも一緒に連れてゆくように依頼したあの男は、せめてもの罪滅ぼしだったのだろう」

「すべてこうなることは仕組まれていたということなのね?」

「そうなるね。日本政府が私を本国へ帰国させるように仕組んだことも彼らからの要求だったのだろう。そのうち分かることだと思うが、今は内藤さんの解放と身体の安全を確保できる方法を考えないといけない」

梓は自分が遭遇した墜落事故の真相究明がとんでもない大きな犯罪組織と繋がって阻止されようとしていることを知った。
そして、内藤の身の安全が何と引き換えになるかということが予測できた。
私のことを大切に考えてくれるなら、彼は自分の思いを放棄するかも知れない。そんな気持ちになって欲しくない思いと、何とか裁判を続けて自分も手伝いたいという思いが重なり合う。

「エイブラハムさま、わたくしはどうすれば良いのでしょう?帰国も叶わないとなることは嫌です。何とか内藤さんと話が出来ることを望みます」

「しばらくは時間がかかるだろう。本国へも日本の大使館から状況の報告は来ているかも知れない。アメリカと言えども決して安全じゃないかも知れないな」

「ええ、わたくしもそう感じています。エイブラハムさまのお国へ行った方が安心ではありませんか?」

「皮肉だな。最初に行くことを嫌っていた自国に行きたいだなんて、ハハハ~」

「笑い事ではありません。自分の分ぐらいのお金は用意してありますので、私が入国できるかどうかだけです」

「それは問題が無い。税関で聞かれたら、三人目の妻だと言えばいいのだから」

「三人目の?妻ですか・・・ハハハ~それは笑えますね」

「だろう?そういう国も存在するんだよ。日本のように間口が狭くて厳しい国家は国内が甘い。我々の国家のように税関がいい加減なところは国内が厳しいんだよ」

「そう言うものなのですか。世界って知らないと分からないものですね」

「そう、分からないことがこの世の中には多いよ」

エイブラハムと梓は荷物をまとめて、空港へと向かった。