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佐野みむろ
佐野みむろ
novelistID. 42051
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アンデッド・ストック

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安全地帯トントン




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 畑に囲まれた吾輩の出身小学校は、子供でも「あぁ《カソカ》なんだな」と分かるくらいに、児童が少なかった。

 だから地元の小学生達は、みんな知り合いだった。「そんな奴いたんだ」みたいなことがほとんどない。一つの学年につき一クラスしかなかったのだ。

 千里(ちさと)太一郎(たいちろう)は、五年生の時に関東から引っ越してきた。

「お前、伯爵(はくしゃく)みたいだな」

 千里が初対面の吾輩に言ったのは、こんな言葉だった。

 吾輩のどこを見て「伯爵」と言ったのか。当時の吾輩といえば鼻水を垂らし、しかもそれが固まってカピカピになってしまっているような「不潔」そのもので、貫禄とか人生経験とか家庭環境からして、伯爵からは程遠かった。

 だから当時の吾輩は、「僕のどこが伯爵なの?」と訊いた。

 返ってきた答えは、「いや、なんとなくそんな感じがしたから」。

 伯爵? 僕が伯爵?

 なぜか吾輩は、「伯爵」という聞き慣れない言葉に興奮を覚えた。

 それからは一人称を、「僕」から「吾輩」に変えた。服装も、長袖長ズボンに統一した。そうしたからといって伯爵のイメージに近づけたのかと言われればそうでもない。しかし半袖半ズボンのままでは、クソガキのイメージから抜け出せない感じがしたのだ。断るまでもないが、当時の吾輩はアホだった。

 千里とは、爵位の授与を機に絡むようになった。

「お前、何で自分のことを《吾輩》って呼ぶの」

「伯爵っぽいから」