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佐野みむろ
佐野みむろ
novelistID. 42051
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アンデッド・ストック

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部屋とGと私




       *


 私がGと会話出来るようになったのは半年くらい前。

 その日、帰りが遅くなるというお母さんに代わって私が夕飯を作ることになっていた。私のレパートリーはオムライスと焼きそばとカレーくらいだけど、その三つしか作っていないせいか味はそこそこいける。その日はカレーを作ることにして、包丁やまな板などの調理器具を用意した、その時だった。

 視界の隅で何かが動いた気配がした。反射的にそちらを見る。黒い物体が壁に貼りついていた。私は最初、それが《それ》だと思わなかった。汚れかな、と思っていた。でも、汚れが動くはずはないし、汚れならなぜ黒光りするのか。冷静に考えて、ようやくそれが《それ》だと気付いた。

 私は悲鳴を上げ、台所から飛び出た。家にはお父さんもお母さんもいない。誰も《それ》を何とかすることができない。私はとにかく殺虫スプレーを取りに行こうと玄関に走った。玄関の靴入れの上に、殺虫スプレーが置いてあったのを思い出したからだ。

 殺虫スプレーを掴み、ない勇気を必死に振り絞って再び台所に戻った私は、壁に貼りついたままの《それ》に震える手で狙いを定めた。黒いおかげで狙いやすい。

 そしてスプレーのレバーを引こうとした、その瞬間だった。

「え、ちょ、やめて下さい」

 その日二回目の悲鳴が家中に響き渡る。

 お父さんもお母さんもいないこの家で、声がしたのだから驚いて当然だ。そんな大きな声を出したにもかかわらず、壁に貼りついた《それ》は逃げない。