「熟女アンドロイドの恋」 第五話
梓が枇々木潤子として名乗りを上げ、裁判に出席するとその後世間から大きな関心を惹き、取材も含めて平穏な日常が得られなくなると内藤は思った。
だから、一年前エイブラハムのところに住むように頼んだのだ。
日本と外交がある一国家の大使として自宅とはいえエイブラハム家にはSPが居る。そして防犯カメラも完全に全スペースをカバーしている。
ある意味梓にはプライバシーが無い。
第三次安倍政権から引き継いだ現政権で憲法改正がなされ、国内では中東核戦争の影響もあって厳しく監視体制が敷かれるようになっていた。
公人や有名人などには、もはやプライバシーを守るなどということは不可能にさえ思われた。
銀座の「魔王」はそうした中、特殊な存在であったから、一部の公人や有名人、実業家などに重宝されて繁盛していたのだ。
公共施設と共に民間の人が集まる場所には、飲食店も含めてトイレ以外には防犯カメラの設置が義務付けされていた。
もちろん法的に罰せられるので魔王にもカメラはついていた。
着いていた、だけである。
立ち入り検査はこれまでに何度かあったが、事前に判っていたのでその日はカメラを正常に動かしていた。
もちろん客は誰も来ない。
どんな世の中でも体制に批判的な重要人物がいる。
その逆に、体制にこびているまさかという人物もいる。
魔王には双方の顧客が居たから、何でも解ったのだ。
梓は情報が入らなくなった今、エイブラハムへの依存は大きい。
内藤自身もこの裁判で有名人となるからこれまでのように秘密の研究を続けることが不可能になると心配した。
東京での集会を終え、代表と内藤は都内のホテルで引き続き会談していた。
これから裁判までの打ち合わせをする中で、梓は一つ提案をした。
「内藤さん、ここでお話されることは懸念されます。魔王へ行きましょう。その方が安心してお話しできると思います」
「そうか、梓さん、ありがとう。そうしよう」
「あのう、魔王って何ですか?」
代表の平山が聞いた。
「平山代表、魔王って言うのは銀座にあるクラブです。そこは絶対安心な場所なので今後そちらで待ち合わせして、会談を進めましょう」
「そういう場所があるのですね」
「ええ、この梓さんは去年までそこのナンバーワンだった人なんだよ」
「ああ、どうりでお綺麗だと思っていました」
梓はニコッと平山を見て笑った。
だから、一年前エイブラハムのところに住むように頼んだのだ。
日本と外交がある一国家の大使として自宅とはいえエイブラハム家にはSPが居る。そして防犯カメラも完全に全スペースをカバーしている。
ある意味梓にはプライバシーが無い。
第三次安倍政権から引き継いだ現政権で憲法改正がなされ、国内では中東核戦争の影響もあって厳しく監視体制が敷かれるようになっていた。
公人や有名人などには、もはやプライバシーを守るなどということは不可能にさえ思われた。
銀座の「魔王」はそうした中、特殊な存在であったから、一部の公人や有名人、実業家などに重宝されて繁盛していたのだ。
公共施設と共に民間の人が集まる場所には、飲食店も含めてトイレ以外には防犯カメラの設置が義務付けされていた。
もちろん法的に罰せられるので魔王にもカメラはついていた。
着いていた、だけである。
立ち入り検査はこれまでに何度かあったが、事前に判っていたのでその日はカメラを正常に動かしていた。
もちろん客は誰も来ない。
どんな世の中でも体制に批判的な重要人物がいる。
その逆に、体制にこびているまさかという人物もいる。
魔王には双方の顧客が居たから、何でも解ったのだ。
梓は情報が入らなくなった今、エイブラハムへの依存は大きい。
内藤自身もこの裁判で有名人となるからこれまでのように秘密の研究を続けることが不可能になると心配した。
東京での集会を終え、代表と内藤は都内のホテルで引き続き会談していた。
これから裁判までの打ち合わせをする中で、梓は一つ提案をした。
「内藤さん、ここでお話されることは懸念されます。魔王へ行きましょう。その方が安心してお話しできると思います」
「そうか、梓さん、ありがとう。そうしよう」
「あのう、魔王って何ですか?」
代表の平山が聞いた。
「平山代表、魔王って言うのは銀座にあるクラブです。そこは絶対安心な場所なので今後そちらで待ち合わせして、会談を進めましょう」
「そういう場所があるのですね」
「ええ、この梓さんは去年までそこのナンバーワンだった人なんだよ」
「ああ、どうりでお綺麗だと思っていました」
梓はニコッと平山を見て笑った。
作品名:「熟女アンドロイドの恋」 第五話 作家名:てっしゅう