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エノコロ



まだ午前中で晴れなのに黄昏れ時に見えるのは
自分の心象の投影か あるいは誰もいないせいか
多数の穂の茶色い色がそう思わせるのか
狗尾草 エノコログサ 猫じゃらし
エノコロエノコロネコジャラシと歌って
これで猫でも現れたら最高なのにな

この木道は花菖蒲を見るためのもの
もう半湿地帯という面影はなくなっていて
いずれ道も隠れてしまいそうな気もする
それはそれで生命力に拍手をしよう
エノコロエノコロネコジャラシ
エノコロはあのころという言葉を連鎖させる

あの頃と急に頭に浮かんでもとりとめが無い
あの頃はもう無数にある筈だが飼い猫の子どもの頃
穂を狙って遊んでいると思ったが
あいつは穂の付け根を噛んで切り落とす
若葉を美味しそうに食べていたことはあるが
もう硬くなったであろう茎を食べようとしている
死んだときにここに埋めてやればよかったかな

作品名:イメージ2 作家名:伊達梁川