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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第一話

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梓は飛行機事故の時はまだ就学前だったから、両親の仕事のこともよく知らなかった。
世話になっていた叔母からも何も聞かされなかったので、当然聞きもしなかった。それは、思い出を探ることで心の傷がどんどん深くなってゆく自分がいたからだ。

二十歳を過ぎて世の中のことが少しずつ分かるようになってきて、叔母から聞かされ続けたことを考えるようになった。
それは、事故のことに関係していた。
両親と弟は交通事故で亡くなったこととしてお墓に入っている。命日の供養もお寺さんにはそのように話してあるからそのつもりでいなさい、ということだった。

何故嘘をつかないといけないのかという疑問をぶつけたことは無かった。
分かりました、とだけ答えて特に怪しむでもなく今日まで来た。
内藤が店にやってきて自分のことを話した時、忘れていた時の流れが一気に戻って、何故叔母は嘘をつくように話したのだろうと考えたくなっていた。

店のママが教えてくれた、内藤の紹介者であるエイブラハムとは最近世界中から科学者や技術者を雇い入れて、何やら国家的研究をしていると評判のある国の外交官で、日本へはもう十年以上赴任しているから、普通の日本語が話せていた。
誕生日パーティーがあった日から一月ほど経った週末に内藤はエイブラハムと一緒に店にやって来た。
梓に指名が入る。

「これは内藤さん、エイブラハム様、ようこそお越しくださいました」

「梓さん、固い挨拶など抜きでいいから、ここへ座れ」

言われて梓は内藤の横へ座った。

「今日はなエイブラハムさんに頼まれて、是非梓に聞いてもらいたい話があるんだよ。だから来た。店終わりに付き合ってくれないか?」

「急ですね、内藤さん。外に出ることは禁止ではありませんが、どのようなご用向きなんでしょう?ちょっとだけ教えて頂ければ考えますので」

「前に来た時の話の続きだよ。飛行機事故の真相」

「そうですか、ここでは話せませんね。解りました。ご一緒させて頂きます」

「良かった。では11時に表に車を着けるから来てくれ。前で私が立って待っている」

「はい、ママにお願いしてお帰りのみなさまと鉢合わせしないようにしますわ」

「助かるよ」

梓は閉店する23時の少し前に店を出た。
内藤たちと向かった先は大使館の近くのバーだった。
会員制でその日は貸し切りになっていた。