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妖夢の朧な夢日記-aoi

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俯瞰した事実、俯瞰できない事実



夢だったのかもしれない
そもそも、さっきのが夢じゃないだなんて誰が言った
あんな幸せな夢を、私が見て良いのだろうか

「おうおう、話は聞いたぜ。
 あいつも洒落たことすんなぁ。おかげで私の役目が御免になっちまった」

思考にはまろうとして、紅い情熱の声が行く手を塞ぐ

「何よ」

ぶっきらぼうに言ったわけではないのだが、目の前の金髪白黒、異なった色は
あの日見た焼却と破滅とは違う色をした彼女は
どこか悲しそうな眼をして

「なんだよ。折角来たっていうのに塩対応だな。泣いちゃうぞ?」

しくしくしく
え、どうしよう
泣かせるつもりではなかったのに
あたふたと困っていると、目の前の魔女は笑う
星の光が瞬くように、キラキラとした笑み

「なんつってな。私も空を見せたかったが、それは文がやったから……
 そうだそうだ。話し相手になりに来た」

布団の中で横たわる私
その隣に入ってきた
半ば無理矢理、強引に

「私だって、心配しているんだぜ?
 鈴仙だってああ見えてすっげぇお前のことを心配してる。
 人の温もりを感じようよ」

ぎゅっ、と布団の中で抱擁される
少女の体温が伝わってくる
嗚呼、あれもこれも
彼女達が先程私に働きかけた事は
決して夢ではないということを目の前の少女は肯定してくれるのだ
普通の魔法使いの素敵な魔法
今の私には大魔法使いに見える

「おうおう、妖夢お前いつもよりも温いな」

「布団の中に入っているからよ」

「羨ましいぜ。私もずっと布団の中に入っていたいなぁ」

「病でも患う?」

「それはお断りだぜ。妖夢のそれはうつせば治るとか、そういう単純な代物じゃないみたいだな」

「なんだか、そうみたい。私にとっては勝手に決めつけられて不快だけど、名前をつけないと治せないみたいで」

「軽口を叩けるだけ、治り始めているってところだな」

大魔法使いは、よくやった。と私を褒め称えてくれる
ありがとう
久々に心が落ち着いたような気がする

「にしても……どこで知ったの?」

「昨日の文々。新聞と、今朝の花菓子念報。
 文な。あいつ、見事にはたてにスクープされてやがった。
 博麗神社に届けに来たのを見た瞬間に霊夢と共に吹きだしたからな。
 後日霊夢も訪ねに来ると思う」

そう言って大魔法使いは爆笑する
思い出し笑いだろうか、その瞬間に件の彼女がいたのだろうか
よく判らないが、楽しそうだ

「分かったわ、ありがとうね」

礼を言うと、少女は目尻に涙を残し、腹を抱えながら

「いやぁ。まさか、お姫様抱っこなんてな」

……それは私も恥ずかしい。



作品名:妖夢の朧な夢日記-aoi 作家名:桜坂夢乃