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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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SAKURAH PICNIC

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 するとそこへ、作者マイミ・アイジョウとともに、1人の女性が現れた。
「ハイ、皆さん」
 その女性は落ち着いたピンク色の着物に紺色の帯、日本的な柄の上着をまとっているが、顔つきと言語は完全に西洋人である。この「青い眼のヒメギミ」のような姿の女性を見て、フィル、ヒューゴ、ジミーとホシノさんは
「おぉ〜、サラ!」
 と興奮ぎみに声を上げた。スティーブンが
「母さん!どうしたの、その服」
 と尋ねると、彼女はうれしそうな顔で答えた。
「作者からもらったブローチが、スカイブルーに光ったの。そうしたら、着ていた服がこんなに素敵なものに変わったの!」
 サラの横で、作者もうれしそうに二度うなずいた。
「それで私、心躍ってミス・アイジョウと外に出たら、まるで何かに誘われるようにこの桜の美しい場所に来たのよ」
 彼女の話を聞いて、フィルが言った。
「事情は何だかよく分からないけど、すごい幸運だね」
「復活祭の時期には、何かしら奇跡が起こるものかもしれないな」
 ジミーも付け足した。
「このジャパニーズドレス、青空と桜によく合ってるぜ」
「やば、母さんきれいすぎて、俺泣きそう…」
 ギターコンビも口々に褒めた。
「さ、みんなの中に入りましょう」
 作者の指示で、サラは履物を脱いでシートのあまり汚れていない部分に正座した。

 それから少したったときのこと。桜の木から1枚の花びらが、ひらりひらりと舞いながらサラの頭に降りてきた。その愛らしい花びらは、さながら小さな髪飾りであった。
「おっ、シャッターチャンス!」
 ジミーがそう叫び、ポケットに入れていたカメラを出すと、
「サラ、ゆっくりこっちを向いて!」
 と言うと、カメラのシャッターボタンを押した。彼はカメラの裏画面に映る写真プレビューを見ると、
「Great」
 とつぶやき、写真を保存した。

 彼に続き、ホシノさん、フィル、ヒューゴ、そして息子スティーブンまでもがデジカメやスマホで撮影会を始めた。モデルとなったサラは、終始笑顔を絶やさなかった。


 みんなの写真熱が収まると、スティーブンが桜餅の入ったパックを母親に差し出した。
「母さんこれ、サクラモチって言って、日本のお菓子なんだって。一つ食べる?」
「ええ、そうしましょ」
 サラがお祈りをして1個の桜餅を両手で持って食べる様子を、ジミーがさりげなく撮影した。そのそばでは作者がイチゴ味のチョコ菓子をヒューゴと仲間っこで食べていた。フィルは一人一人の様子を見ると空を見上げ、カフェオレのカップを掲げた。


 日本でのSAKURA PICNICは、彼らの心に強く残るだろう。
作品名:SAKURAH PICNIC 作家名:藍城 舞美