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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 大空に蘇る」 第二話

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「何とか生き延びました。お恥ずかしいですがお蔭でこうして再開が果たせました」

「にわかに信じがたいが、中で詳しく聞こう。そちらは誰だ?」

「中島と言う優秀な操縦士です」

「同じ未来から来たというのだな?」

「そういうことになります」

中島は驚くばかりで口がきけなかった。
指揮官は望月の話を信じられないという表情で聞いていたが、実際の機体を見て話しを信じざるを得なくなっていた。

「この件についてはどのように報告するのか迷う。今しばらくはおれの留めるところとしよう。ところで未来から来たのならこの戦争がどうなるのか知っておるのだろう?」

望月はちょっと考えた。
そして中島の顔を見ながら少し頷き、自分が全てを話すと小声で先に言った。

「中尉殿、未来で分かっていることをお話することは簡単です。私たちにとってはほんの小さなやり取りが、日本の将来を変えるかも知れません。何もなかったことにされることが良いと考えております。ご不満でしょうが、心中をお察しください」

「望月、貴様のいうことは判らぬでもない。もし元の未来へお前たちが戻れないとしたらどう考えるのだ?少しでも日本が勝利への道に進ませる方が賢明だとは思わんか?」

「その時は私なりに結論を出して日本のために最善を尽くすつもりです。時間的な猶予を区切ってください」

「わかった。では年内を区切りとしよう」

その年昭和十九年は日本が最終手段として特攻攻撃を開始した年でもあった。
ここの飛行士たちもやがて九州へと召集され、特攻隊員として突撃してゆく運命にあると望月は悲しい思いがした。

二人は宿舎へと案内され、多くの飛行隊員や地上勤務の技師たちとしばしの歓談をした。
特にゼロ戦の機体については多くが関心を寄せており、中島の話は食い入るように聞いていた。
初めて見る液冷式エンジンや、空調設備、機体の一部にチタン合金が使われていたことも驚きに値した。

「中島殿、性能についてはどうなのですか?」

そう尋ねる若い飛行士に時速800キロ、高度1万5千メートル以上、補助燃料追加で1万キロ飛行と伝えると、ワーッと歓声が上がった。

「明日わたくしに操縦桿を握らせては戴けませんか?」

そういうだろうと中島は予測していたが、望月の顔を見てコメントを求めた。

「いいでしょう。二人乗りですから、後ろに中島さんを乗せるということを承知してください。それと隊長には許可をとってください」

若い飛行士は望月のことを知っていた。未来から来た本人ではなく、この部隊の優秀な飛行士だった時の望月のことだ。
ミッドウェーでの激戦で不時着をして帰還できなかったことを聞かされて、死亡と言う報告が誤りであったことが知らされた。