小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

マフラーと天使

INDEX|1ページ/1ページ|

 

 むかし フランスのとある町に、エティエンヌという男の子が お母さんと2人で住んでいました。
 お父さんは エティエンヌがまだ小さいときに なくなってしまいました。それなので エティエンヌとお母さんは まずしいくらしをしていました。

 さて、さむいさむい2月の ある水ようびのことです。
 エティエンヌは 友だちのおうちに あそびにいっていました。おうちにかえるころには 雪がふっていました。
「うわぁ、さむい。早くかえろう」
 雪はどんどんはげしくふってきたので、エティエンヌは おうちへといそぎました。

 そのとちゅう この子は 石こうでできた 天使のちょうこくを見ました。
 天使のあたまにも はねにも 雪がつもっていました。
 天使のちょうこくや 絵がすきな エティエンヌは このさむそうな天使を ほうっておくことができませんでした。
「ありゃりゃ。このままじゃさむいだろう。なんとか あたたかくできないかなあ……あ、そうだ」

 エティエンヌは 首にまいていた青いマフラーをはずすと 天使のちょうこくの首に まいてやりました。このマフラーは なくなったお父さんがつかっていたマフラーで エティエンヌの おきにいりでした。
「ぼくには これくらいしかできないけど、あなたのおやくに たちますように」
 この子は そとでぽつんと立っている天使が すこしでもあたたかくできるように だいじなマフラーを ゆずったのでした。


 エティエンヌが おうちにかえってくると、お母さんはびっくりして いいました。
「あらまぁエティエンヌ、マフラーはどうしたの?」
 エティエンヌは かえりみちのできごとを お母さんにはなしました。
「まぁ、そうだったの。エティエンヌ、おまえはやさしい子ね」
 お母さんは やさしいむすこの あたまをなでながら いいました。


 それから およそ1しゅうかんたった日の あさのこと。そとで ヴァイオリンの音と だれかのうたごえが きこえてきました。
「♪だれかに してもらいたいことを あの子は だれかにした
 ♪そのやさしいこころ ばいにして かえしましょう
 ♪だれかに してもらいたいことを あの子は だれかにした
 ♪そのやさしいこころ ばいにして かえしましょう
 ♪まだまだ さむさ つづきます 
 ♪さむさよけに あたたかいマフラーをどうぞ」

 ふしぎなうたごえと ヴァイオリンの音は どんどん大きくきこえました。エティエンヌは それをきいて 目をさましました。
(なんだろう、あのうたごえは。ヴァイオリンの音もするなあ)
 すると うたごえもヴァイオリンもとまり、そのかわりに さくっ、と なにかをおく音がしました。
 エティエンヌが 家のドアをそっとあけると、石こうでできた 天使のちょうこくが 空をとんでいるのが見えました。首には あの青いマフラーをつけて。

 ドアのそばを見ると 一つのふくろが おいてありました。エティエンヌは それをおうちの中に入れました。
 ふくろの中に入っていたのは、二つの青いマフラーでした。
「見てよ、お母さん!マフラーが二つもある!それに、さわるだけで とってもあったかいよ!」
 お母さんも エティエンヌのもとに来てみると、この子のいったとおりでした。


 こうして、エティエンヌとお母さんは 天使のくれたマフラーのおかげで あたたかく げんきに 冬をすごしたそうです。


                                 おわり
作品名:マフラーと天使 作家名:藍城 舞美