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皇族探偵馬子の事件簿

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 ふたりにわきを抱えられ立たされた東漢駒は、申し訳なさそうに馬子のほうを上目づかいで見た。そして高倉健ばりの朴訥なしゃべりで、こうつぶやいた。
「……不器用ですから」
 とたんに馬子の腰に佩いた直刀がシャリンと鞘走った。ザンバラリンと首が切れて、東漢駒の周囲にゾバシャと血が飛び散る。
「わっ、わっ」
 首なしになった死体を突き飛ばして、舘ひろし似が顔をのけぞらせた。
「てめ、なにしやがんだ」
 柴田恭兵に似た男が、馬子のほうをにらみながら後じさる。
「お、俺はタカと違って平和主義者なんだからな」
 馬子のマツコ・デラックスばりにでかい顔が、ニターリと笑った。無言で血塗れの刀を突きつけてくる。柴田恭兵と舘ひろし似のふたりは、あわててその場から逃げ出した。
「関係ないねっ」
「くわばらくわばらっ」
 こちらを何度も振り返りながら走り去る男たちをにらみつけて、馬子が吐き捨てるように言った。
「ふん、木っぱ役人どもが余計な詮索しやがって。あとで蝦夷地へ更迭してやるから覚えてらっしゃい」
 厩戸皇子は、床に転がった東漢駒の首を棒でツンツン突ついている。
「かわいそうに、なにも殺すことないじゃないですか」
「だって、こいつが犯行をゲロしたら、こっちの身まで危うくなるのよ」
 皇子は、あきれた表情で肩をすくめた。
「臭いものにフタをしたってわけですか」
「そ、オカマだけにね」