コーヒーの中で
妻に恋をしていたい。
こどもの僕にとって、夫婦というものはどこか冷めたコーヒーの様に見える。
それが美味しいと言う人もいる。勿論、温め直す事もできる。
温かいのは最初だけで、早いものなら一年もたずして冷めきってしまう。それが僕には恐ろしい出来事に見える。
僕は高校二年生の17歳。この歳でまだ見ぬ妻を考えては、途方にくれる毎日。
妻には恋をしていたいし、僕に恋心を抱き続けて欲しいとまで思う。これを結婚して十数年経つ人が見ると、馬鹿げた妄想にしか見えないかもしれない。現実から目を背けているだけかもしれない。
でも僕はまだ見ぬ妻に恋をしていたい。愛に変わるその前の気持ちをずっと持っていたい。
どんなに歪な形であっても、そのコーヒーを何度も何度も温め合う。
青春の1ページのような恋心を"妻"に抱いていたい。