「サスペンス劇場 身代わりの愛」 第三話
653年元旦、宮中で鎌足は時期が来たと中大兄に事を決行するように話を持ち出した。
「皇子、祝賀の挨拶の後で天皇に遷都のことを奏上なされませ」
「鎌足、聞き入れて頂けるだろうか?」
「十分に根回しは鎌足が整えております。もし、ならぬとあらば皇子は一族を引き連れて遷りなさいませ」
「なんと!勝手に出て行けと申すのか」
「恐れ入ります。大海人君も従います。たとえ天皇が残ると申されても誰も従わないという事態になることは必定です」
「では鎌足、間人はどうなるのだ?」
「皇后さまですから、天皇に従うことでしょう」
「それはならぬ!間人も一緒でなければ動かぬ」
「わがままを申されますな。この機を逃して時間が過ぎれば、いずれ有間皇子が皇位を継承して、皇子は叔父というだけにとどまりますぞ」
「有間はうののさららと婚約しておるのだろう?その心配はいらんと思えるが違うのか?」
「お耳をお貸しくだされませ」
鎌足は中大兄の耳元で周りに聞こえないように囁いた。
「有間皇子は過ぎるところがあります。婚約は解消され、うののさららさまは別の重要人物へ嫁がせるのが得策です」
「なに?別の重要人物とな。うののさららは有間を好いておるぞ」
「好いておるとかで婚約するのは民百姓です。皇子は何としても即位しなければあの乙巳の変が無駄骨になってしまいます。すべてはこの鎌足におまかせください」
「誰に嫁がせるのじゃ?」
「弟君です」
「大田皇女がおるではないか」
「兄として弟を信頼しているという証です。人望が厚い大海人君を何としても味方につけなければこの計画は上手く運びませぬ」
「姉妹で同じ夫に嫁ぐのか・・・可哀そうに」
「間人皇女のことは何度も申し上げますが下手をすると命取りとなりますぞ。心お静めなされませ」
「鎌足!良いことを思いついた。采女のほのかじゃ!かのものを皇后に見立て、間人を采女に化けさせて連れ帰ろう」
「そのようなこと・・・すぐに露見して大騒ぎになりますぞ」
「大丈夫だ。このわたしが見間違うほどの瓜二つなのだ」
「では、鎌足が足を運んで調べてまいります。今の策略は今しばらくお待ちなされませ」
「皇子、祝賀の挨拶の後で天皇に遷都のことを奏上なされませ」
「鎌足、聞き入れて頂けるだろうか?」
「十分に根回しは鎌足が整えております。もし、ならぬとあらば皇子は一族を引き連れて遷りなさいませ」
「なんと!勝手に出て行けと申すのか」
「恐れ入ります。大海人君も従います。たとえ天皇が残ると申されても誰も従わないという事態になることは必定です」
「では鎌足、間人はどうなるのだ?」
「皇后さまですから、天皇に従うことでしょう」
「それはならぬ!間人も一緒でなければ動かぬ」
「わがままを申されますな。この機を逃して時間が過ぎれば、いずれ有間皇子が皇位を継承して、皇子は叔父というだけにとどまりますぞ」
「有間はうののさららと婚約しておるのだろう?その心配はいらんと思えるが違うのか?」
「お耳をお貸しくだされませ」
鎌足は中大兄の耳元で周りに聞こえないように囁いた。
「有間皇子は過ぎるところがあります。婚約は解消され、うののさららさまは別の重要人物へ嫁がせるのが得策です」
「なに?別の重要人物とな。うののさららは有間を好いておるぞ」
「好いておるとかで婚約するのは民百姓です。皇子は何としても即位しなければあの乙巳の変が無駄骨になってしまいます。すべてはこの鎌足におまかせください」
「誰に嫁がせるのじゃ?」
「弟君です」
「大田皇女がおるではないか」
「兄として弟を信頼しているという証です。人望が厚い大海人君を何としても味方につけなければこの計画は上手く運びませぬ」
「姉妹で同じ夫に嫁ぐのか・・・可哀そうに」
「間人皇女のことは何度も申し上げますが下手をすると命取りとなりますぞ。心お静めなされませ」
「鎌足!良いことを思いついた。采女のほのかじゃ!かのものを皇后に見立て、間人を采女に化けさせて連れ帰ろう」
「そのようなこと・・・すぐに露見して大騒ぎになりますぞ」
「大丈夫だ。このわたしが見間違うほどの瓜二つなのだ」
「では、鎌足が足を運んで調べてまいります。今の策略は今しばらくお待ちなされませ」
作品名:「サスペンス劇場 身代わりの愛」 第三話 作家名:てっしゅう