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大食らい女児――MAYURI――

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「うん、いいけど」と、酒井は適当に返事をした。

「よーく聞けよ。お前は今からホーマックへ行って、電動ノコギリを盗んでくるんだ。つまり、万引きだ。できるか?もし成功したら、お菓子を買ってやる」

「本当?!」

酒井は目を輝かせた。

「やれるか?」

「やるっ!やるやる!」

二人はさっそくホーマックへ向かった。

正くんは店の入り口で待機し、酒井は一人、店へ入っていった。

酒井は店頭にある電動ノコギリを持つと、入口の近くのレジに並んだ。
勿論、並んでいるフリをしているだけである。
あとはただ、外で待機している正くんの合図を待つだけである。

人が少なくなってから、ようやく正くんが合図を出した。

「よし、今だ!」

酒井はノコギリを持ったままダダダダッと店の外へ猛ダッシュした。

すぐに店員が気付き、後を追いかけて来たが、酒井の足の速さには敵わなかった。

「よし、よくやったぞ、舞由李」

正くんは酒井からノコギリを受け取ると、上機嫌な様子で先ほどの自販機の場所に向かって歩き始めた。

「ねー、お菓子は?」と酒井が聞いたが、正くんはそれを無視し、

「今度は自販機を切断する作業に入る」

「ねー、お菓子はまだ?」

「うるさいな!」と、正くんは酒井を睨みつけた。

「そんなだから太るんだぞ!」

「なんだとー!この白髪野郎!」

「ガーン!」

ちょうどその時、パトカーのサイレンが聞こえてきた。

とたんに正くんは真っ青になった。

「どどど…どうしよう!」

「私、知〜らないっと」

酒井は冷たく言い放ち、正くんを置いて走り出した。

「ちょ…待って!」

正くんはノコギリを放りだして酒井の後を追った。