狗賓の落書(二百文字SS集)
ツンツンばれんたいん
「一つだけ選んで」
と言って美香は、チョコを並べた皿を俺に突きつけた。
「全部くれたらいいじゃないか」
「ダメよ、一つだけ」
仕方なく適当に選ぼうとすると、彼女が言った。
「言っとくけど、ワサビ入りのが混ぜてあるの」
「なんでそんな事するんだよ」
「私への愛が本物なら正しいのを選べるはずだわ」
俺は、恐る恐る一つを選んで口の中へ入れた。
「ぼえーっ!」
「キャハハ、引っかかった、じつは全部ワサビ入りよ」
そういう女だ。
作品名:狗賓の落書(二百文字SS集) 作家名:Joe le 卓司