狗賓の落書(二百文字SS集)
不治の病
医者が沈痛な面持ちでカルテを睨んでいる。俺は恐る恐る口を開いた。
「……そんなに悪いんですか、俺の病状?」
「残念ですが、すでに手遅れのようです」
「ええっ」
驚く私に、医者がさらに言った。
「完治する見込みはありませんが、まあ気長に治療を続けてください。それとこの病気、健康保険の適用外ですので」
「マジっすか」
俺は涙目になった。
「お気の毒です」
そう言いながら医者はカルテにさらさらと病名を記した。
――中二病。
作品名:狗賓の落書(二百文字SS集) 作家名:Joe le 卓司