狗賓の落書(二百文字SS集)
蜘蛛の糸
叫喚地獄で苦しむカンダタは、しかし生前ひとつだけ良い行いをしました。その事にお釈迦様が報いて下さったのでしょう、天上から彼のもとへ縮れた毛が一本スルスルと降りてきます。「しめたっ」さっそく彼はその毛をたぐり始めますが、それを見ていた他の亡者まで一緒になって上ってこようとします。「来るな、これは俺のもんだっ」叫んだ途端、頭上から大量の小便が降りそそぎ、哀れカンダタはふたたび地獄の底へまっ逆さま……。
作品名:狗賓の落書(二百文字SS集) 作家名:Joe le 卓司