小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

コント:ネットカフェ

INDEX|1ページ/1ページ|

 
コント:ネットカフェ
<登場人物>
甲:ネットカフェ店員
乙:ネットカフェに来た客
――乙、ネットカフェに入る――
甲:いらっしゃいませ。コストカットのために一切のウイルスソフトを入れずに営業しております。ネットカフェ『マンゴー』へようこそ。
乙:いきなり嫌な事実突き付けて来たな、アンタ
甲:お客様、本日はおひとり様でご利用ですか?この正月に。
乙:はい。一人で利用ですケド。
甲:会員証はお持ちですか?
乙:いや、造った事ないんですよね
甲:じゃぁ一丁作りますか。(腕まくりしながら)
乙:なんだよ、そのテンション
甲:採寸どうしますか
乙:会員証に採寸とか在り得ないだろ、アンタ
甲:ちなみにですね、当店会員証を発行する際に何か現住所が記載されている身分証明生姜必要なんですが
乙:あ、免許証でいいですかね
甲:かまいませんよ。
乙:はい、コレ
甲:ありがとうございます……。 ぁ、やっぱオートマだ
乙:うるせぇな。 なんだ、その予測。
甲:ではですね、あと登録の届け出の書類の記入が必要になりますので、あちらの台で記載していただいていいですか? その間に私SR確定のガチャ10連で回してますんで。
乙:余計な報告しなくていいんだよ
――乙、登録用紙を記載する。
甲:……お!
乙:……。
甲:……あ!!
乙:……。
甲:うっわぁぁぁぁああああ!!!!
乙:(振り向いて)うるせぇええ!!!!
甲:なんだよもぉおおおお!!!
乙:うるせえっつってんだろ!
甲:このSRはいらねぇ奴なのにぃぃい
乙:ウルセェ声を人に聴かせんな!
甲:これ10連ガチャに、ここのバイト代3時間分かかるんですよ
乙:知らねぇよ。 ほら書いたぞ、会員登録の用紙。
甲:……ありがとうございます(物凄い憮然とした口調で)
乙:なんだぁッ、その態度ッ
甲:では、会員登録完了しましたんで、お席の方へご案内いたしますね。お客様、おタバコは当然吸えませんよね?
乙:決めつけんなや
甲:けど、吸わないでしょ?どーせ
乙:まぁ、確かに吸わないけども
甲:ですよね。煙草にかかる税金払えそうな感じしないですもん。
乙:その一言で余計にムカついたぞ
甲:あと、ネットゲームは出来ませんよね?
乙:だから決めつけんなって。
甲:けど、リアルにどう?やる?
乙:まぁ、やりませんけど……。
甲:ですよね?ネトゲの人間関係こなせそうにないっすもん
乙:余計にムカつく一言を後からプラスしてんじゃねぇ
甲:では、禁煙の、ネトゲ非対応の席にご案内いたしますね。ご利用時間はどうなさいますか? 一応、こちらが当店が扱っている料金プラン表になります。
乙:へぇ、どれどれ
甲:まず、
乙:……。 え、宿? ここ、宿?
甲:一応、ホテルをライバルにして営業しています!
乙:いや、ホテルといい勝負し過ぎでしょ、これ。上がってる土俵が同じだぞ。
甲:どうします?素泊まりで2泊くらいしていきます?
乙:しないしないしない。するはずがねぇよ。3時間くらい。3時間くらいのパックにしてよ。
甲:わかりました。正月からネカフェに3時間滞在ということで……
乙:その正月を意識させる言葉やめろや
――甲がパソコンに情報を入力し、伝票が発行される――
甲:ちなみにこちら、一度伝票発行しますと料金プランの変更できませんので
乙:伝票出す前に言えよ。 為す術がないだろ、もう。
甲:ではお客様のお部屋、こちらの24番ブースですね。
乙:大体どの辺にあります?その24番の席って
甲:っは、手前で調べろっての。
乙:なんだ、その態度! いいでしょ、別に教えてくれても!こっちは初めて来たから店のこと全然わからないんだよ
甲:はいはい。 え~っとですね、お客様の席は、店内にある消火栓から2~3歩進んだところにある通路を左に曲がった――
乙:もう嫌がらせじゃんか、それは。誰が消火栓基準で紹介されて理解できるんだよ。
甲:……(静かに手を上げる)
乙:嘘つけ!
甲:消火栓のこと舐めないでください。
乙:別に舐めてはねぇわ
甲:まぁ、ここに店内マップありますんで、これ見て確認してください。
乙:……早く言えよ。
甲:(ウインクしながらペロッと舌を出して、頭をコツンと叩く)
乙:止めろ、ムカつくから!
甲:では、ざっと当店の説明いたしますね。当店会員制の漫画喫茶になっておりまして――
乙:そっから!?今更!?
甲:で、ですね、店内コッチからアッチがエロ本コーナーになってまして、アッチからソッチまではエロ本以外のコーナーになっております。
乙:そんなエロ本ばっかなの?この店
甲:……。ごゆっくりどうぞ
乙:何だ、その含みある笑い方
甲:あとですね、当店1ドリンク制になっておりまして
乙:1ドリンク!?え、マンガ喫茶で1ドリンク?
甲:はい。
乙:ライブハウスか。
甲:こちら、ドリンクのメニューになります。
乙:はいはい……
甲:お決まりになりましたら声かけて下さい。その間、私いらないSR強化素材にして好きなPRレベルアップさせてますんで。
乙:いいんだよ、そんな報告。で、このメニューんだけど質問いい?
甲:どうされました?
乙:何で酒しかねぇの?
甲:いけませんか。
乙:いけませんよ。 松竹梅、大吟醸、鬼殺し……全部酒じゃねぇか。
甲:すいません、どうしても店長がドリンクを酒で統一しろと……
乙:ちょっと一回つれてこいや、その店長
甲:いや、それが店長、今はスタッフルームで休憩中でして……
乙:なんだよ、それ。
甲:店長、ちょっと体調が悪いんですよ。さっき会った時も青紫色の顔でぐったり寝込んでまして……。何度かトイレで吐いたりもしてたんですケド
乙:重たいな、症状が。
甲:でも「大丈夫だ、こういう時は迎え酒で直る」って言って――
乙:“アル中”だろ、ソレ!
甲:あ、ちょっと待ってもらっていいですか?
乙:ん?どうしたの?
甲:すいません、ちょっとインカムで連絡が入ったんで……
乙:そうなの?何て?
甲:――えぇ、はい……はい……え、そうなんですか!?
乙:なになに。どうしたの!?
甲:いや、店長が……
乙:なんだよ、アル中で気絶したのか?
甲:覚せい剤の禁断症状が出ちゃったみたいなんで、ちょっと行って介抱してきます。
乙:そっちかい!

ーfinー
作品名:コント:ネットカフェ 作家名:能嶋考稀