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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「新恋愛病院・不倫病棟」 第二十二話

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「それは無いと思います。夫はそれほど性欲が強くなかった人なので娘が生まれてからは少なくなってしまいました」

「そうですか。では、お母さまにその辺の欲求不満があったということが引き金になったのですね。今もう会わなくすると言われましたが、我慢出来ますか?」

「先生、この年になってこんなことを言うのはお恥ずかしいのですが、夫との時には感じなかった気持ち良さが彼とではあるんです。自分が淫乱なんじゃないのかって思います。月に一度のその時間が家庭の中の不満とかストレスの解消になっていたことは事実です。止めれば娘とは元通りになれそうですが、ストレスはどう解消してゆけばいいのでしょうか?」

「二兎を追うものは一兎を得ず、と言います。人は何らかの不満やストレスを抱えて生きてゆかなければならいものです。お母さまにとって大切なことは失うことの大きさを与えられるわがままと相殺することです。これから成長してゆくお嬢さんと一緒に趣味とか食べ歩きとか旅行とかを楽しみにされることが良いと私は考えます。セックスは確かに魅力的ではありますが、心まで癒してくれるものではありません」

「母親として失格でした。女として満足していたいと思う気持ちが勝っていました。あの子にここに連れて来てもらえなかったら大きなものを失うところでした。母親が言うことじゃないですが、あの子は真面目過ぎるところがあるので、私のようにならないためにも恋愛をして欲しいと思うんです。早奈枝さんでしたか、看護士さんのことを信頼しているようですので、その辺のことを話してやってもらえませんか?」

「わかりました。ご安心ください。早奈枝看護士は恋愛に関してはベテランですのでお嬢様にきっと秘訣を伝授してくれることでしょう」

鉄男は恋愛小部屋にいる早奈枝に耳打ちをした。
ニコッと頷いて、分かりましたと鉄男に返事をした。

「美玖さん、お母さんは先生に自分のしたことを強く反省をして、二度と会わないようにすると約束されたわよ。それとね、お父様のことを言うけど怒らないで聞いてね。夫婦というのは仲良くしましょうって約束して一緒になるのね。喜びも悲しみも、苦しみも楽しみも一緒に感じたいと思えなければいずれ破たんする。あなたを育てて、家事を文句言わずにこなしてきたお母さんは立派な方よ。そんな夫からしたら妻であるお母さんを寂しくさせていたお父さんにも今回のことは責任があるということが知って欲しいことなの」

「早奈枝さんはお母さんがやったことを悪くないといわれるのですか?」

「悪くないなんて言ってないわよ。お父さんにも責任があると言ったのよ。浮気をするということは余程のこと。あなたにはまだ分からないのかもしれないけど、お母さんはまだまだ女なのよ」

美玖には母が女なんだと言われた言葉が汚いことのように感じられた。


*次回が一旦最終回となります。