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ストライク・ザ・ブラッドα Begin The Night

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〈章=第1章 日常〉
6月、春が終わり暖かくなり始めて梅雨にさしかかった福岡のとある高校の通学路に気だるい足取りで九州地方の独特の朝課外も終わったであろう時間に一人少年が歩いてる。少し後ろから小柄な少女が早足でついて来る。
「ああ…寝みっ…」
私立帝成高校の2年生、明星新也。どこにでもいる平凡な高校生だ。
「新ちゃんいつも夜更かししてるからでしょ!ちゃんと早く寝なきゃダメでしょ!」
小柄で華奢な見た目とは裏腹に強気な口調でハキハキ喋る女の子は付き合って一年と一ヶ月になる小柳美咲。朝に弱くすぐ休もうとする新也をこうして起こしに来ている。
「いいじゃん、そこは俺の好きにして。そんなことより俺にばっかかまってお前も遅刻になるぞ、いいのか?」
「ああ!今そんなことって言った!新ちゃん酷い!私が起こしに来なかったら出席日数足りなくなって大変なことになってるくせに!それに新ちゃんがいなかったら学校つまんないもん。」
顔を膨らませながらそれとちょっと照れながら言う美咲はほっとけない可愛さがあった。
「大変な事になってるかはその時になってみなきゃ分からないだろ。まあお前に会うか会わないかって言われれば会いたいけど、やっぱ学校は嫌だわ。」
新也も照れているのを隠すために彼の精一杯で美咲に冷たく返す。だがそれでも対して効果はなく、美咲は何か勘違いさせたようだ。
「そんなこと言って、彼氏のいない学校に行って一人でお弁当食べる私を想像してみて。どう?学校に行きたくなって来たでしょ?」
「いや、お前友達多いだろ。一人で弁当って想像出来ないんだが…。それに、なんで俺が学校が嫌いみたいになってんだ?」
「え?!違うの?学校嫌だって。」
「行くのが面倒なんだよ。学校自体は嫌いじゃないな。友達とつるむのも楽しいし。」
「え…新ちゃん友達いたんだ。知らなかった…」
「いやいやいや、いますよ!ちゃんと!空想とかじゃなくてリアルにいるからね?!」
そんなやりとりをそうこうしているうちに彼らが通う帝成高校に着いた。 学校に着いてまず最初に寄るのが職員室である。学校に来たからには遅刻届を出さなければならない。時刻はそろそろ昼前というところだ。彼らが二人で職員室に来る光景はすでに教員達にとってお馴染みの光景となっていた。
「あ、天野先生おはようございます。紙取りに来ました〜。」
まず最初に声をかけたのが担任の天野玲だ。女子バスケ部の顧問なので、なかなか引き締まった身体をしている。男子からの人気が高いが今年で34歳になる。 教員が慣れれば自分たちも慣れて来る。昼の時間帯だが元気よく職員室に響く朝の挨拶。だが、そんな事は誰も気にしない。むしろ清々しいくらいだ。
「はいはーい、二人とも相変わらずだね。小柳さんありがとね、今日来なかったら明星お前ヤバかったぞ、本当に。」
俺に対する態度と美咲に対する態度違くないかと思いながらいるとまた別の教師が近づいて来た。
「明星、お前は少しも小柳に申し訳ないとは思わんのか?お前のせいで小柳も遅刻扱いになるはなんとも思わんのか?」
30代とは思えない古臭いありきたりのようなセリフをはいたのはこの学年の学年主任の長栄、見た目は少し太り気味で最近2キロ痩せたと本人は言うが全く分からない。
「いや、朝起こしてくれとか学校に連れてってくれとか頼んでないので別に思ってないですね。」
「そうですよ先生、私が好きでやってる事ですから迷惑だなんて思ってないですし、思わせたくもないです。それにもし出席状況が原因で新ちゃんが指導になったら私も一緒にいられるからいいかなって思ってます。」
その時の美咲の顔は本気で言ってるのか演技なのか分からないくらい完璧だった。こうなったらもう新也の出る幕はない。事を終わらせるのを待つしかないのだ。
「いや…、本人がそう言うなら構わんが明星、感謝だけはしとけよ。こんなに彼氏思いの彼女はなかなかいないぞ。」
「あ、それは思います。新ちゃんはもっと私に感謝してもいいと思うんですけど?」
「は?感謝はしてるよ。かと言って毎度毎度感謝される様な事はしてないだろ。」
「それは新ちゃんが気づいてないだけでしょ!私、いっぱい頑張ってるんだから!」
「はいはい、痴話喧嘩はそこまでにしてさっさ教室行く。せめてここではしないでね。」
『うっ…』
天野先生に話を一蹴されて二人とも言葉を詰まらせた。だが、次の言葉を発する前にさっさと職員室を追い出された。手早く追い出された二人は仕方なく教室に向かった。
「お、来た来た。二人して遅刻とか仲良過ぎでしょ、それとも昨日の夜から今朝まで何かあったのかな?」
「ゲスいぞ、大貴。だから今まで彼女の一人もいないんだよお前は。」
教室について最初に声をかけて来たのは新也の親友で何だかんだ長い付き合いになって腐れ縁になる手嶋大貴だ。いつも朝遅い二人に対して毎朝このようにからかっている。美咲とも顔見知りであり仲もいい、たまに自分よりも仲がいいのではと疑うほど。
「うるせえ、俺はいないんじゃなくて作らないの。本気を出せば彼女の2〜3人くらいは簡単にできるし。」
「いや、何人も作ったらダメでしょ…。そう言うチャラいところじゃないの?」
「まあ、大ちゃんのチャラさは病気だから仕方ないと思うけどね〜まっ、それが取り柄でもあるし。」
「それは俺がチャラさしか取り柄のない残念な男になってないか?」
さっきまでの明るい顔から一転、ブスッとした不貞腐れた顔になっている。
「何だ、違うのか?」
「違うわ!俺だってな好きになれば大切にしたいと思うし、一途に思いたいと…おい、何でそんなに目がキラキラしてるんだお前ら。」
「いや〜別に〜。それより大ちゃん気にせず続けて続けて。」
「そうだ、気にするな。お前の思う人なんぞたかが知れてるが聞いてやる。気にせず話していいぞ。」
「絶対に話さねーよ!お前らの前で!こう言う時だけ結託しやがってこの野郎…はあ、なんかこっちが疲れたぜ…。」
そうこう話していると4時間目のチャイムが鳴り3人は慌ただしく授業の準備にとりかかった。