季節ものショートショート
はるとねこ
春が来た。
いや、これから来るのかな?
とりあえずそんなことよりも眠いなぁ……
……ん?
だれが来たんだろう?
おばあちゃんが帰って来たのかな?
「あっ!こんなとこにいた。」
誰かと思えば春が来たのか。
あぁもうあんまりなでるな。
眠いんだから。
「そういえばご飯まだでしょ? もってきてるから。ちょっと待ってて。」
そういえばまだ食べてなかったな。
ありがたくいただこう。
しかし何の用で来たんだろう?
最近よく来るけど。
なんだかご飯もらって一緒に遊んだら、いつの間にか帰ってるんだよなぁ。
ふわぁ……。
おばあちゃんはいつ帰って来るんだろう。
「はい、できたよ。おたべ?」
おぉ、ご飯だ。
おなかも空いてることだし、とりあえず食べよう。
「どう?おいしい?」
もちろん。
これだけおなかが空いてておいしくないご飯があるわけない。
今なら炭でもおいしく食べれそうだ。
「すごい勢い。そんなにおいしいの?」
おいしいとも。
少なくとも草とかに比べたらよっぽどおいしいね。
あれを好き好んで食べる奴は見たことがないが、いるんだろうか。
もし居たとしても、そんな奴の気は知れないね。
「もう空っぽだね。お粗末様でした。」
ごちそうさまでした。
あぁ眠いなぁ。
でも、とりあえず手入れはしないとな。
いつもやってることだし、かかさずやらないと。
「ねぇ、今日はなにして遊ぶ?」
うーんそうだなぁ。
何がいいだろう?
「また、日向ぼっこでもする?」
そうだな。
それがいい。
今日は日向ぼっこにしよう。
いつもどおり縁側で日向ぼっこだ。
のんびりしてるのが一番だ。
ただ、あんまりさわってくれるなよ?
さっき手入れしたばかりなんだからな。
まったくさわらないのも残念だがな。
っておい。
いきなりさわるな。
びっくりするだろう。
「どう?気持ちいい?」
ほぅ。
気持ちいいなぁ。
あぁ、だんだん眠くなってきた。
「そろそろ寝るのかな?」
「寝ちゃったか……。ごめんね。春が来たらどうなるんだろうね。でも今は、……こうしてればしあわせかな?」
作品名:季節ものショートショート 作家名:空言縁