「新恋愛病院・不倫病棟」 第十三話
「一応結婚しておりますので」
「結婚していてもない夫婦って多いと思うのですが、早奈枝さんは良いご主人で羨ましいです」
「主人だけとは限りませんけど・・・あら?何か変なこと言いましたかしら?」
「何ということを・・・若く見えるし、お綺麗だからおモテになるのですね。私なんか好きな人の前で裸にすらなることがはばかられます。彼と会って気にいってくれても彼を満足させることなんて叶わないのかと考えると、切ないです」
「美佳さん、女の武器は見てくれだけではありません。彼さんと会われて、あなたの魅力を感じてもらえるためにすることはいくつかあります。まず気軽に体を許さないという姿勢が大切です。軽い女は値打ちが下がります。これまでメールで話されていた内容を一つ一つ実際に話して確認されることです。嘘が無いか見極めることもなさってください。相手に誠意を感じることが出来たら、次に会う時は手をつなぐとか自然にされると良いでしょう」
「そうですね、そうします。私が気に入って彼も気に入ってくれてお互いに仲良くしてゆこうとなってからすべてを受け入れるということですね?」
「そうなりますね。男性はとかく身体の関係だけ欲しがる人が多いから、そういう人だとあなたの心に傷が残るので心配します。割り切って遊べる人ならアドバイスなんか要らないのですけどね」
「最近よくテレビなどで不倫を見ますが、私はどうしてあんなによく出来た奥様が居るのに、男の人は浮気をするのだろうかと思いますね。離婚した元夫は浮気ではありませんでしたが、私を抱こうとしませんでしたからひょっとして不能になっていたのか、まさかの男色だったのかなんて思います。子供たちはそんな私たちの関係を知ることもなく大人になってゆきました。今は私に同情してくれていますが、再婚するとなると反対されそうで、そうすると彼とはある程度の距離を置いた付き合い方をする方が良いのかとも悩みます」
「核心部分が出てきましたね。お話を伺っていて一つ言えることは、今の段階では再婚とか考えずに、女として満足できる恋愛をされることで良いと思います。彼に愛されれば身体も潤って来るし、心も満たされます。女は好きな男性がいることで充実感が得られます。私も夫には感謝をしています。この仕事をさせてもらっていますからね」
早奈枝の言葉に美佳は深くうなずいていた。
作品名:「新恋愛病院・不倫病棟」 第十三話 作家名:てっしゅう