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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「かぐや姫」 最終話

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連絡船に戻ったかぐやは政府軍の総司令官として国王からの紋章を受け取り胸につけた。
反乱軍の抵抗は予想以上に強く、鎮圧するのに十年もかかっていた。
最終兵器だった重力兵器を爆破し、惑星かぐやに攻め込んだかぐやは反乱軍を惑星ティラスへと追いやった。

反乱軍の司令官は亡き国王に娘が居たことを知り驚いた。人心は自分たちより新しい国王のかぐやにつくだろう。無念の思いだが自分たち一族と仲間の生命のために、平和協定を結び、惑星ティラスと惑星かぐやは未来永劫不可侵条約を破棄することは無かった。

祐一が病に倒れたのは翔が大学を卒業して就職した年の秋だった。
脳が委縮して手足がマヒする奇病に侵されていた。
医師から今の医学では進行を遅くする以外には治療方法が無いと聞かされていた。

病室に美加とこれからのことを話す必要があるとボクは思った。

「美加、おれはもうだめかもしれない。翔のことは頼むよ。何も残せなかったけど、おれとおまえの思い出は一番の宝物だ。今まで本当にありがとう」

「そんなこと言わないで祐一。神様にお願いすれば叶うことだってあるよ」

「そうだな・・・うん?そう言えば困ったときに開けろって渡された箱があったな。見てから死にたいので持ってきてくれないか?」

「ええ?昔にあなたが誰か解らない人から頂いたあのタグが付いた箱のことね。解った、待ってて」

おれは美加が持ってきた箱を開けた。
中には金属のようなもので出来た板が入っていた。

「なんだろう。何か解らない文字が書いてあるけど・・・」

驚くなかれ、手に持っていた金属の板は目にも鮮やかな閃光を放ち、祐一の身体をスキャンした。そして頭に向けて強い光線を発すると祐一はショックで気を失った。

「祐一!大丈夫?祐一!」

医師が駆けつけてきた。看護師も脈を診て医師が頭に手をやろうとしたとき、祐一は突然起き上がった。

「先生、気分がよくなりました。一度検査してみてください」

驚きを隠せない美加と医師だったが、検査の結果病状は見られなくなっていた。
あの金属の板状のものは何だったのだろうか。
かぐやが父と母のことを心配して、どんな病気でも、苦しみでも治せる医療器具だったのだろうか。

退院する日、二人は大切にその板を箱に入れて持ち帰った。奇跡に二度目があるのか解らないが、ボクと美加は誰にも内緒でいようと話し合っていた。

「かぐや姫」 終わり。