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われら男だ、飛び出せ! おっさん (第ニ部)

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「あははは、正々堂々ですね、私がこの店の主です、ラーメン甲子園にあなた方のような年配が出てくるとは思いませんでしたよ、失礼ですがおいくつで?」
「三人とも六十五になります」
「あはは、同い年ですよ、なんだか嬉しいですね」
「それはこちらも同じですよ」

 日高は名古屋ラーメン発祥の店で台湾人の店主の右腕となって働いていたが、店主の息子さんが一人前になったのをきっかけに独立したのだと言う。
 本来ならその店を継ぐこともできたのだろうが、店主に対する義理堅さ、そして六十代で独立すると言う気概がある、三人はすっかり共感を覚えた。
 そして、話をしながらもその手は淀みない動きでラーメンを作る、熟練の技も見せ付けられた。

「はいおまちどうさま、こちらから甘口、中辛、大辛です」
「頂きます」
 甘口を優作、中辛を佳範、大辛を秀俊がすする。
「中細のストレート麺ですね、醤油ベースのスープに合ってますね」
「なるほど、この具材が溶け出す事を見込んだ、絶妙の味加減ですね」
「スープと具材が一体となるのは他とは全く違いますね」
「お三人がそれぞれ麺、スープ、具を担当してらっしゃるのは知っていましたが、どなたがどの担当かすぐわかりました」
「ははは、おそらくお察しの通りです」
「いかがですかな? 台湾ラーメンは」
「大変に個性的ですね、ラーメンと言うのは、原型は中国でも日本で独自の発展を遂げて来た麺料理ですよね、和食とは言わないまでも最早日本食だ、でも、これは日本で改良を加えられた台湾料理ですね」
「ええ、私が修行した店はラーメン専門店ではなくて台湾料理店、主人も台湾人でしたからね、ウチでもラーメンが主力ですが、台湾料理の皿も出していますよ」
「それはありがたい、我々はこれが夕食なんですよ、お勧めの物があれば」
「そうですね、パイコーとカキ入りオムレツ、オーギョーチなどどうでしょう?」
「お任せします」
「お酒は?」
「台湾でお酒と言うと紹興酒ですか?」
「いや、向うでは高梁酒の方が一般的ですね」
「それはどういった?」
「白酒、透明な蒸留酒ですよ」
「日本で言うと焼酎のような?」
「近いですけど五十八度あります、試してみますか?」
「挑戦してみましょう」

 同い年と言う気安さも有り、日高を含めた四人は意気投合して乾杯した。