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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「かぐや姫」 第十話

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「感謝の言葉もありません。親としての心情は解らないでもありませんが、お嬢様はこれから長い戦いの中心に座る方です。もう二度とお会いすることは叶わないでしょう」

「かぐやはそれでいいのか?」

「お父さん、いや祐一様、私の運命は生まれたときから決められていました。地球へ避難したことは父がとった最後の作戦でした。平和な時ならお目にかかることなどなかったお父さんとお母さんと翔くんと過ごした時間は永遠に記憶されます。お許しください。かぐやのことは記憶の中に留めおきくださいますようお願いします」

「かぐや、そんなこと出来ないよ。美加も翔も同じことだ。お前を失うことは永遠の悲しみに尽きる。もし、どんなことでも叶うというのであれば、ボクと美加と翔の記憶からかぐやのことを消して欲しい。そうすれば三人で残された人生を生きてゆくことが出来る」

「祐一様、それで宜しければ叶えましょう。我々には記憶をつかさどる神経物質をコントロールする装置があります。敵の情報を得た後、自分たちとの遭遇を忘れさせるために開発したものです。痛くもかゆくもありません。これからその装置を持って地上に降ります。最後のお別れをしてから、望み通りにさせてください」

「かぐや・・・お前は戦いが始まったらその装置で地球でのことも忘れるというのか?」

「いいえ、私は忘れることはありません。地球の人たちよりも感情のコントロールが出来るようになっているからです。親子や夫婦と言った関係でも執着心のある強い愛情は惑星かぐやの人たちにはありません。理性が大部分を占めているからです」

「そうか、地球人もどんどん進化すればそのようになってゆくのだろうなあ~感情が豊かなほうが人間らしいと思うけど、そのことで争いごとが起きたり、喧嘩が絶えなかったりするから、平和を築くという意味では邪魔なのかも知れない感情だな」

かぐやはニコッと笑った。
あの日小さな容器に入って鳴き声を出していた赤ちゃんが、目の前の女性だとはとても考えられなくなった。きっとこれは夢を見ていたのだ、自分の気持ちを抑えるにはそう思うしかない。

かぐやと二人で再び地上に降りるエレベーターに乗った。
裏山に停めてあった車に乗って自宅へ戻ると美加と翔が玄関先に出て待っていた。