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 除染が進むと、軽トラックの荷台には1つしか載せられないような大きな黒い袋が民家の庭などに置かれるようになった。
 どれだけ増えるのだろうか。。。
 黒い袋があちこちに増えるにしたがって、線量計の数値は目に見えて下がった。
 しかし、いつ通っても除染作業をしている。何年続けるつもりなのだろうか。。。
 荒れた田圃はいつの間にか整地され、そこに黒い袋が山のように積まれるようになっていた。
 村をどうするつもりなのだろうか。。。見れば見るほど、将来が心配になる。
 そして、今月(2015年4月)の中旬に通った時、田圃の黒い袋の山には、緑色のシートが被せられていた。そのシートは、光の反射が一切無く、皺らしきたわみも見えない。どんな材質で出来ているのか。。。不気味なシートだった。
 この村はどうなるのだろう。。。
 あの震災前の希望に満ちた看板は、既に無かった。

 私の描写力の無さのために、イメージがつかない方も多いと思う。
 これは、風評ではなく、4月中旬における飯舘村の現実である。
 無責任に批判する前に、是非その目で現実を見て欲しい。

 再び問う。。。
 実感する必要を感じず、原発問題に関心もない。という人は、肯定、反対問わず原発について真剣に考えている人々に対して意見を述べる資格はあるのだろうか。。。まして、罵倒するのは如何なものだろうか。。。

 私は思う。原発の電気は安くはない。人間が完全にコントロールできない力により得る恩恵は、安いとは言えず、クリーンで安全だとは言えないという事を。。。
 太陽光発電が急速に増えてはいるが、ベースロード電源になるものではない。
 季節、天候、昼夜問わず一定の電力を安定的に低コストで発電できるベースロード電源といわれているのは、火力発電や原子力発電、一般水力発電に地熱発電だ。その中で原子力は低コストだと、言う人もいる。何もなければ、何かあっても人間がコントロールできれば、安い電力といえるだろう。しかし、今の段階の技術、、、福島第一原発の事故発生させた程度の技術で、安いといえるのだろうか。。。
 被害にあった村を見てきた私には逆立ちしても「安い」とは言えない。
 だだし、事故を起こさない研究は必要だし、止めるべきではない。と思う。止めてしまえば、技術はそこで無に帰す。全ての犠牲とともに無となる。
 いつか完全に人間がコントロールできる日が来たなら、その時は、安くてクリーンな電源として、堂々と使えばいいと思う。
 私は東海村の周辺に住んでいる。震災前まで、様々な機会を通じて、原子力は安全でクリーンなエネルギーだと刷り込まれてきた。
 それなのに「想定外」という言葉で事故を表現した以上、国は想定されるあらゆることをリスクとして研究し、それを避ける技術を開発すべきである。規制を強化してクリアする。という生半可なものでは何の進歩もない。リスクが無くなるわけではないからだ。まさに「イタチごっこ」だ。イタチが尻尾を噛んだ瞬間に、また悲劇が起こる。。。
 それでも再稼働させるのだろうか。

 原発の割合を高めるために、せっかく自然を犠牲にして建設した水力発電所を閉鎖してまで進めてきた原子力発電。。。まだ続けるのか?とりあえず原発を当てにせず、水力や火力を見直してみてはどうか?

 国民の生命と財産を守るのは国の使命ではなかったか。。。

 インターネットを始め、今の我々は、ひと昔前とは比べものにならないくらい情報発信ツールと環境に恵まれている。
 そろそろ一方的な批判は止めて、お互いを知り、モラルを持って接しようではないか。
 そして、未来の日本のあり方について語ろうではないか。未来は、我々と子孫のものなのだから。。。
作品名:モバイル艦隊 作家名:篠塚飛樹