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モバイル艦隊

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 しかしとにかくヤバいのだ。。。何がって、当局が、もとい妻が艦隊の全てを把握していなかったのなら、卒倒モノの風景がダイニングテーブルの上に広がっている。
 もし知らなければ
「こんなに持ってて、どーすんの?」
 となり、経済制裁という名の小遣い削減、あ、違った、小遣い削減という名の経済制裁の嵐が吹き荒れるであろう。
 かといって今更撤収できない。あとはシャッターを切るだけだ。全部は無理だが、せめて数を減らさねば。。。どれをポケットに隠そうか。。。
 もうだめだ。家族のために、家計のためにあちこちのスーパーを回って買ってきたであろう重みのある食材の入ったマイバッグの擦れ合う音がすぐそこに迫る。
 そして私の目の前に広がる決して家族のためにも家計のためにもならない無駄の数々。
 もう無理だ。
 言い訳も何も考えつかない。
「い、いや〜。エッセイの表紙の写真をとろうと思ってね。今、どかすから」
 考えていた言い訳よりも早く口が真実を吐き出した。いかん、口は妻に従順だ。既にモバイル艦隊を守る「私」という戦線は崩壊している。
「モバイル艦隊って文字を画面に大きく出したいんだけど、使わないと出し方忘れちゃって。」
 そうなのである、普段使っているのはこの中の2台程度であり、撮影に手こずっていたのは、文字の出し方を忘れていたからだった。しかし、そんなことを正直に言ってしまったら、「いらない」と言っているようなモノだ。速攻でオークション行き決定だ。
 やはり、駄目だ。私の口は妻に嘘を言わない。何という麗しき習慣。。。
「まとめてオークションに出すのかと思ったよ。慌てなくていいよ。ゆっくり撮りな。」
 まとめてオークション。。。それが我が家にとって正しい答えかもしれない。
 が、
 どれも捨てがたい
 というのが私の本音。。。
 あの頃の。。。モノを書くのが嫌いなのにガジェットに囲まれていた私、用途もなくガジェットを買いあさっていたあの頃の私とは違う。今は「描く」ために必要なのだ。
 「描く」という大義名分を掲げたモバイル艦隊が表紙に収まる。

 いい眺めだ。。。

 心なしか写真がブレブレなのは私の心の動揺か。。。

作品名:モバイル艦隊 作家名:篠塚飛樹