「かぐや姫」 第三話
惑星かぐやでは、反乱軍の勝利宣言が行われて長く続いていた平和的、民主的政権が軍事的、独裁的な政権に変わろうとしていた。
かつて、混乱期を経てかぐやでは統一国家が誕生した。異民族が一つの主義主張の下、恒久の平和を実現させる選択をしたのだ。
長く平和を保っていたが、宇宙開発を進めてゆくうちに、自分たちの住む環境に近い惑星を発見し、そこに移住して第二の人生を楽しむようになると、新しい権力を欲しがる種族が統一国家の下で与えられている不平等に活路を見出すべく、移住を始めた。
宇宙空間の移動には光速に近い推進力を得られるプラズマエンジンでも移住先の惑星まで数日以上かかる。
ひとたび新しい軍事組織が築かれれば、政府軍が予告なしに統制に向かってもそれだけの時間の余裕を相手に与えてしまう。
相手に気付かれないように大量の軍隊を派遣するには無理が生じていた。
移住先の惑星はティラスと名付けられている。かねてよりの危機を回避すべく、かぐや惑星暦5050年、国王はすべての兵力を集めてティラス制圧に出発した。
惑星かぐやより移住していた少数民族の軍事組織は、軍事的には優位なものを手に入れていた。
かぐやで開発され、実現されようとしていた破壊兵器だったが、恒久平和を目指す国王の意思の下、製造は却下されていた。
政府の命令で破棄すべき設計図は盗み出され、反乱軍となるティラス政府軍の手に渡っていた。
国王の懸念はティラスに近づいたときに実際のこととなって苦しめられる。
話しは地球に戻る。
西暦2017年秋、祐一と美加は結婚した。
もちろんかぐやを育てたいとの思いが一致したからだ。
よちよち歩きを始めたかぐやは、パパ、ママと声を発するようになる。
成長が早いと他の子供と見比べて感じ始めた。
「美加、かぐやはどうも成長が早いと思うけど、保育士のお前から見てどうだ?」
「そうね、言葉を話すにはふつうもう少しかかるけど、かぐやはハッキリとパパとママとは言うから早いと感じるわ」
「地球人じゃないからだよ」
「どこから見ても私たちと同じ顔と身体だよ。地球人に決まっているでしょう」
「お前忘れたのか?ボクが話したことを」
「そうじゃないけど、そういう風には思いたくないのよ。解る?」
「気持ちはわかるけど・・・それとな、かぐやの首の後ろにある傷だけど、どこかで怪我させた覚えあるのか?」
「ないわよ、私も気になっていたの。医者に見せた方がいいのかしら?」
「一歳になったら連れてゆこう」
「そうね、健康診断してもらった方が安心よね」
かぐやの首の傷は医者には不明だと言われた。
そしてレントゲンを撮っても異常がないので、心配はいらないと聞かされた。
こうしてボクたちはかぐやを本当の子供ように感じながら育てて行く。
月日は流れる。
かつて、混乱期を経てかぐやでは統一国家が誕生した。異民族が一つの主義主張の下、恒久の平和を実現させる選択をしたのだ。
長く平和を保っていたが、宇宙開発を進めてゆくうちに、自分たちの住む環境に近い惑星を発見し、そこに移住して第二の人生を楽しむようになると、新しい権力を欲しがる種族が統一国家の下で与えられている不平等に活路を見出すべく、移住を始めた。
宇宙空間の移動には光速に近い推進力を得られるプラズマエンジンでも移住先の惑星まで数日以上かかる。
ひとたび新しい軍事組織が築かれれば、政府軍が予告なしに統制に向かってもそれだけの時間の余裕を相手に与えてしまう。
相手に気付かれないように大量の軍隊を派遣するには無理が生じていた。
移住先の惑星はティラスと名付けられている。かねてよりの危機を回避すべく、かぐや惑星暦5050年、国王はすべての兵力を集めてティラス制圧に出発した。
惑星かぐやより移住していた少数民族の軍事組織は、軍事的には優位なものを手に入れていた。
かぐやで開発され、実現されようとしていた破壊兵器だったが、恒久平和を目指す国王の意思の下、製造は却下されていた。
政府の命令で破棄すべき設計図は盗み出され、反乱軍となるティラス政府軍の手に渡っていた。
国王の懸念はティラスに近づいたときに実際のこととなって苦しめられる。
話しは地球に戻る。
西暦2017年秋、祐一と美加は結婚した。
もちろんかぐやを育てたいとの思いが一致したからだ。
よちよち歩きを始めたかぐやは、パパ、ママと声を発するようになる。
成長が早いと他の子供と見比べて感じ始めた。
「美加、かぐやはどうも成長が早いと思うけど、保育士のお前から見てどうだ?」
「そうね、言葉を話すにはふつうもう少しかかるけど、かぐやはハッキリとパパとママとは言うから早いと感じるわ」
「地球人じゃないからだよ」
「どこから見ても私たちと同じ顔と身体だよ。地球人に決まっているでしょう」
「お前忘れたのか?ボクが話したことを」
「そうじゃないけど、そういう風には思いたくないのよ。解る?」
「気持ちはわかるけど・・・それとな、かぐやの首の後ろにある傷だけど、どこかで怪我させた覚えあるのか?」
「ないわよ、私も気になっていたの。医者に見せた方がいいのかしら?」
「一歳になったら連れてゆこう」
「そうね、健康診断してもらった方が安心よね」
かぐやの首の傷は医者には不明だと言われた。
そしてレントゲンを撮っても異常がないので、心配はいらないと聞かされた。
こうしてボクたちはかぐやを本当の子供ように感じながら育てて行く。
月日は流れる。
作品名:「かぐや姫」 第三話 作家名:てっしゅう